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杜若/燕子花 カキツバタ

デジタル大辞泉の解説

かきつばた【杜若/燕花】

[名]
アヤメ科の多年草。湿地に群生。葉は剣状で幅広く、基部は鞘(さや)になり茎を挟む。初夏、濃紫色の花を開く。外花被3枚は垂れ、中央に黄や白の斑紋がある。内花被3枚は小さく、直立する。園芸種には白花もある。古くは花汁で布を染め、書き付け花とよばれたという。かおよぐさ。 夏》「―べたりと鳶(とび)のたれてける/蕪村
襲(かさね)の色目の名。表は二藍(ふたあい)、裏は萌葱(もえぎ)。一説に、表は薄萌葱、裏は薄紅梅
紋所の名。カキツバタの葉と花を図案化したもの。
[枕]
花の美しさから、「にほふ」「丹(に)つらふ」にかかる。
「―につらふ君を」〈・二五二一〉
花が咲くところから、「さき」にかかる。
「―佐紀沼(さきぬ)の菅を」〈・二八一八〉

かきつばた【杜若】[謡曲]

謡曲。三番目物。旅僧が三河の八橋(やつはし)に来ると、杜若の精が現れ、伊勢物語の話をし、在原業平(ありわらのなりひら)の歌の功徳(くどく)で成仏したことなどを語る。

と‐じゃく【×杜若】

カキツバタ、またはヤブミョウガの漢名。

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大辞林 第三版の解説

かきつばた【杜若】

能の一。三番目物。三河の八つ橋で旅僧の前に杜若の精が現れ、業平なりひらの詠歌の力で成仏したことや、業平東下りの物語を語り、舞を舞う。

とじゃく【杜若】

ヤブミョウガの漢名。誤ってカキツバタの漢名ともされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

杜若
かきつばた

能の曲目。三番目物。五流現行曲。世阿弥(ぜあみ)作か。出典は『伊勢(いせ)物語』。在原業平(ありわらのなりひら)の東下(あずまくだ)り、三河(みかわ)国(愛知県)八橋(やつはし)で詠んだ「らころもつつなれにしましあればるばるきぬるびをしぞおもふ」、その杜若の精を美しい女人の姿で登場させ、業平をめぐる女性像と重ね合わせた能。『伊勢物語』の情緒の濃さと、初夏の季節感の鮮やかさが映り合って成功した作品である。八橋の杜若に見入る旅の僧(ワキ)に呼びかけた女(シテ)は、僧をわが庵(いおり)へと導く。高子(たかきこ)の后(きさき)の衣装をつけ、彼女の恋人である業平の形見の冠(かむり)を着た女は、『伊勢物語』の恋愛絵巻を舞い、歌に秀でた業平を極楽の歌舞の菩薩(ぼさつ)として賛嘆し、草木国土悉皆(しっかい)成仏の仏の力を得て、清澄な世界へ消えていく。草木の精をシテとする能、『梅』『藤(ふじ)』『芭蕉(ばしょう)』、紅葉の精の『六浦(むつら)』、『墨染桜(すみぞめざくら)』『西行桜(さいぎょうざくら)』『遊行柳(ゆぎょうやなぎ)』のなかでも、とりわけ華麗な幽玄味を主張する作品である。[増田正造]

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