中魚沼郡津南町・南魚沼郡
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
長野県下水内(しもみのち)郡栄村,新潟県南魚沼郡湯沢町,中魚沼郡津南町にまたがる成層火山。標高2145m。上信越高原国立公園の北端を占める。山体はおもに新第三紀層とその上に噴出した輝石安山岩類からなる。山頂は平たんで,火口の跡は北西に向かって決壊しており,この部分から赤沢(硫黄川)が流出し中津川に注いでいる。山頂の北には神楽ヶ峰(2030m),日蔭山(1840m)など馬蹄形に尾根が連なり,南西側は押し出した溶岩からなる東西約3km,南北約3.5kmの広大な緩斜面が発達している。緩斜面上には約600の小湖沼が散在し,シラビソの林が美しい。シライケソウ,チングルマ,ワタスゲ,モウセンゴケ,ニッコウキスゲなど高山・湿原植物の群生地として知られ,苗場山という名も,群生するミヤマホタルイが7月いっせいに芽をふき,苗代田のように見えることから名付けられたという。
古くから地元農民の信仰の山として名高く,《北越雪譜》にも登山記がみられる。山頂には保食(うけもち)神などをまつる伊米(いめ)神社がある。登山道は湯沢町赤湯,八木沢と栄村小赤沢,上ノ原からのコースが一般的である。近年,登山者は年間1万人をこえ,山頂にある二つのヒュッテの利用者も多い。なお国際級の大会が開かれた苗場国際スキー場(湯沢町浅貝。現,苗場スキー場)は苗場山ではなく,南東の筍(たけのこ)山(1790m)の斜面を中心に開発されたものである。
執筆者:中村 三郎
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新潟、長野の県境にある楯(たて)状火山。標高2145メートル。山体は輝石安山岩で構成される那須火山系(なすかざんけい)の模式的アスピーテ式火山で、上信越高原国立公園地区に指定されている。山頂の南西面には長さ4キロメートルに及ぶ広大な溶岩原があり、初夏の雪解け期には高山植物のミヤマイが湿原に若芽を吹いて、苗代(なわしろ)田のようにみえるところから山名が生まれたといわれる。頂上の奥の院には伊米(いめ)神社が祀(まつ)られており、古くから信仰の山として名高く、中世は山伏の修験(しゅげん)道場でもあった。表口の東麓(とうろく)は清津川の侵食による清津川峡谷や、赤湯、小出(こいで)、貝掛(かいかけ)などの温泉場や、苗場スキー場など設備の完備したスキー場がある。登山口は上越新幹線越後(えちご)湯沢駅から八木沢(やぎざわ)までバスで行き、三国(みくに)街道の三俣(みつまた)宿から登る三俣口と、西麓の秋山郷(あきやまごう)から登る秋山口などがあり、いずれも頂上まで4~5時間で登れる。
[山崎久雄]
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