茶番(読み)ちゃばん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

茶番狂言ともいう。滑稽即興寸劇。江戸時代の歌舞伎劇場楽屋で,大部屋下級役者の仕事であった茶汲み役を茶番といったが,当番になった者はいろいろと工夫を凝らして余興をしてみせる風習ができ,これが天明年間 (1781~89) には吉原をはじめ一般民間にも広まった。「立茶番」と「口上茶番」とがあり,「立茶番」はかつら衣装を着けて芝居のもじりをするもので,京坂の「 (にわか) 」と同類のものであり,また「口上茶番」はすわったままで種々の物品を取出し,滑稽や洒落で落 (おち) をつけるものである。転じて現在では,が見え透いていて芝居がかった行動をさす。

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デジタル大辞泉の解説

客のために茶の用意や給仕をする者。
こっけいな即興寸劇。江戸歌舞伎の楽屋内で発生し、18世紀中ごろ一般に広まった。口上茶番と立ち茶番とがある。茶番狂言。
底の見えすいた、下手な芝居。ばかげた振る舞い。茶番劇。「当人は真剣でも傍(はた)から見ればとんだ茶番だ」

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世界大百科事典 第2版の解説

素人が即興に寸劇を行うこと。茶番狂言元禄(1688‐1704)のころに歌舞伎の三階の大部屋にいる下級の役者たちが茶汲み役を受けもっていたが,これを〈茶番〉といった。この人たちが芝居の千秋楽の日に各自隠し芸などをして楽しんだところから茶番狂言がはじまったといわれる。また,一説にはこれにあたるものたちは下戸ばかりで,茶を飲みながら隠し芸を演じたともいう。やがてこれが慣習となり,天明(1781‐89)のころには民間にも広まり,文化・文政を経て天保(1830‐44)のころに大流行した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

江戸時代、江戸で流行した素人(しろうと)寸劇、茶番狂言のこと。茶番とは歌舞伎(かぶき)劇場の楽屋の職掌の一つで、三階の大部屋役者の受け持ちであったが、当番にあたった者はくふうを凝らして景物を出す習慣があった。これが江戸中期、天明(てんめい)(1781~89)ごろに民間にも広まったのが茶番狂言で、立茶番と口上茶番の2種ある。立茶番は京坂の俄(にわか)と同類の道化芝居であるが、口上茶番は座ったままいろいろの品物を出し、それを材料にして洒落(しゃれ)や滑稽(こっけい)を述べて落ちをつけるもので、見立(みたて)茶番ともよばれた。

[服部幸雄]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 客のために茶の用意や給仕などをする者。茶を煎(せん)じて出す役。
※雑俳・柳筥(1783‐86)四「松のうち湯屋にも茶番一人つけ」
※滑稽本・当世阿多福仮面(1780)「芝居が好きで、日待や茶番があると」
③ 底の見えすいた、ふざけたふるまい。真実味のない、馬鹿馬鹿しいできごと。茶番劇。
※人情本・春色淀の曙(19C中)初「エ、何だ。比丘尼になると。イヤハヤ、怪しからねえお茶番(チャバン)だ」

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