菊池川(読み)キクチガワ

デジタル大辞泉 「菊池川」の意味・読み・例文・類語

きくち‐がわ〔‐がは〕【菊池川】

熊本県北部を流れる川。阿蘇あそ外輪山北西麓に源を発し、玉名市島原湾に注ぐ。長さ約71キロ。上流は渓谷美を呈し、オオサンショウウオヤマメなどが生息

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日本歴史地名大系 「菊池川」の解説

菊池川
きくちがわ

阿蘇外輪山の北西部阿蘇郡阿蘇町と菊池市の境界付近の深葉ふかば山地を水源とし、菊池渓谷を流れ下り、菊池・鹿本かもと玉名たまなの三地方を西流し、本流流路六一キロ、支流六六を含めた総延長三八九・七キロ、流域面積九九六平方キロに及ぶ一級河川。上流では菊池川、中流では山鹿やまが川、下流では高瀬たかせ川とよばれる。「国志草稿」はこの三つの流域を次のように説明する。

<資料は省略されています>

菊池川は菊池の自然と文化を育ててきた。上流の立門たてかど付近では向柏むかいかしわ川・鉾甲ほこのこう川を合せ、豊かな水は二つの発電所に利用されている。菊鹿きくろく盆地に入ると河原かわはる川・迫間はざま川を合せる。古代の鞠智くくち城跡はうてな台地にあり、河畔の菊池市隈府わいふは南北朝期には肥後国政の中心地であった。

川の治水・水利の起源も早く、市内を流れる築地ついじ井手(二二八町)は慶長年中(一五九六―一六一五)加藤清正の築造と伝え、横田よこた井手(四〇町)仮屋かりや井手(一五町)も清正の築造という。

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百科事典マイペディア 「菊池川」の意味・わかりやすい解説

菊池川【きくちがわ】

熊本県北部の川。長さ71km。阿蘇外輪山の北西麓に発し,山鹿盆地を出て南流し,玉名市で有明海に注ぐ。下流の菊池平野,山鹿盆地では米を多産するが,流域の大部分は火山灰台地で,畑が多い。江戸時代に船積場が置かれ,米・木炭などを運んだ。
→関連項目鹿央[町]鹿本[町]菊水[町]菊池[市]熊本[県]七城[町]玉名[市]筑肥山地三加和[町]横島[町]

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改訂新版 世界大百科事典 「菊池川」の意味・わかりやすい解説

菊池川 (きくちがわ)

熊本県北部の水を集めて西流し島原湾に注ぐ川。幹川流路延長71km,全流域面積996km2。阿蘇外輪山北西部の深葉山に源を発し,阿蘇溶岩を浸食して原生林の茂る景勝地菊池渓谷をつくる。中流域で菊鹿(山鹿)盆地をうるおし,迫間(はざま)川,内田川,岩野川などの支流を合わせ,丘陵地域をえぐる。下流域では菊池平野を灌漑し,海に入る。水力発電所は本流に5,迫間川,内田川に各1があり,さらに2002年迫間川に竜門ダムが建設された。流域には江田船山古墳など史跡が多く,平安時代からの古い用水路もあるなど,早くから開けた所である。藩政時代は城北における物資輸送の大動脈で,川船やいかだで米や木材などが下流の高瀬,大浜(いずれも玉名市)などの河港に運ばれ,さらに大坂の堂島や長崎に送られた。また海産物が川を上り,川筋広瀬高島(いずれも菊池市)などの船着場がにぎわった。しかしその水運も鉄道の開通,三角港の開港で明治中期以降しだいに衰えていった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「菊池川」の意味・わかりやすい解説

菊池川
きくちがわ

熊本県北部を流れる川。阿蘇(あそ)外輪山北西斜面に源を発し、迫間(はざま)丘陵中を流下しながら、菊鹿盆地(きくかぼんち)の中央部を西流、玉名低山地によって流向を南に変えながら菊池平野を経て、島原湾に注ぐ。延長約71キロメートル、流域面積996平方キロメートルの一級河川。阿蘇溶結凝灰岩からなる上流域では、大小の滝をかけた深さ100メートルにも及ぶV字谷を刻み、独特の渓谷美を呈している。中流域の菊鹿盆地では、網の目のように敷設されている農業用水路の給水源として機能するとともに、その流量の豊かさは、かつては広瀬、高島(菊池市)、山鹿(やまが)などに河港を発達させ、城北の経済動脈として機能させたこともあった。下流域には三角州平野を発達させている。1973年(昭和48)長洲(ながす)町地先に臨海工業地区が造成されて以降、菊池川の用水配分も多様化し、増える工業・都市用水の需要とその安定供給化を図るため、支流の一つである迫間川(菊池市)に竜門ダム(りゅうもんだむ)を建設、2001年(平成13)竣工した。

[山口守人]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「菊池川」の意味・わかりやすい解説

菊池川
きくちがわ

熊本県北部,阿蘇外輪山 (→阿蘇山 ) の北西斜面に発し西流,山鹿市を過ぎて南に向きを変え,有明海に注ぐ川。全長約 61km。上流に菊池渓谷,中流に山鹿盆地,下流に三角州の菊池平野をつくる。江戸時代舟運に利用され,中流に広瀬,高島 (ともに菊池市) ,下流に高瀬 (玉名市) などの河港があった。上流部は阿蘇くじゅう国立公園に属する。

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