華夷通商考(読み)カイツウショウコウ

デジタル大辞泉 「華夷通商考」の意味・読み・例文・類語

かいつうしょうこう〔クワイツウシヤウカウ〕【華夷通商考】

江戸中期の地理書。2巻。西川如見著。元禄8年(1695)刊。宝永5年(1708)訂正増補版5巻刊。主として通商立場から外国地誌を記したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「華夷通商考」の意味・読み・例文・類語

かいつうしょうこうクヮイツウシャウカウ【華夷通商考】

  1. 江戸中期の地理書。二巻。西川如見著。元祿八年(一六九五)刊。中国朝鮮シャムオランダなど計三五か国の地誌を、主として通商の立場から記述してある。宝永五年(一七〇八)増補版を刊行

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改訂新版 世界大百科事典 「華夷通商考」の意味・わかりやすい解説

華夷通商考 (かいつうしょうこう)

江戸時代最初の本格的な世界地理書長崎西川如見著。1695年(元禄8)初版2巻,1708年(宝永5)増補版5巻を刊行。中国を主とするアジア諸国やオランダ以下西洋諸国について,位置・風土産物などを通商の見地から記述した。初版は大通事林道栄秘書《異国風土記》が原本であるらしく,如見はこれを草稿の無断出版だといい,増補版を定本としている。《日本経済大典》等に所収
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「華夷通商考」の意味・わかりやすい解説

華夷通商考
かいつうしょうこう

日本最初の世界商業地誌。西川如見(じょけん)の著。2巻。1695年(元禄8)京都で刊行。中華15省を上巻に扱い、朝鮮や琉球(りゅうきゅう)、台湾、呂宋(ルソン)などアジア諸国に続いてオランダはじめ外夷(がいい)の国までを下巻に収め、日本からの道程、位置、気候、人口、風俗、物産などを記述、通商上の参考に供しようとしたもの。実は、長崎通詞(つうじ)林道栄の秘書『異国風土記(ふどき)』(1688年筆記)が種本である。1708年(宝永5)如見は、アメリカなどの記事を艾儒略(がいじゅりゃく)の『職方外紀』から邦訳して補充、五巻本として刊行した。

[石山 洋]

『鮎沢信太郎著『鎖国時代の世界地理学』(1943・日大堂書店)』『『増補華夷通商考』(岩波文庫)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「華夷通商考」の意味・わかりやすい解説

華夷通商考
かいつうしょうこう

江戸時代前期,中国をはじめ諸外国の位置,風土,人口,産物,風俗などを記した海外一般地誌。上下2巻。長崎通詞,天文学者西川如見著。オランダ人との接触によって得られた外国事情に関する知識によって書かれ,元禄8 (1695) 年刊行,さらに宝永5 (1708) 年に訂正増補されて5巻が刊行された。前者は同じ長崎通詞林道栄の『異国風土記』を,後者は大略ジュリオ・アレーニ (艾儒略〈がいじゅりゃく〉。 1582~1649) の『職方外記』を版に付したものとの説もある。鎖国下の日本で最初の本格的な蘭学研究書,代表的な海外事情紹介書である。『日本経済大典』に収める。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「華夷通商考」の解説

華夷通商考
かいつうしょうこう

外国地誌・貿易書。2巻。西川如見(じょけん)著。1695年(元禄8)刊。草稿を著者に無断で書肆が刊行したとの理由で,如見みずから大幅に増補訂正し,「増補華夷通商考」5巻として1708年(宝永5)再刊。中国15省,外国(朝鮮・琉球など5国),外夷(チャンパなど11国),さらにそれ以外のオランダ人が交易する31国の日本からの道程,気候,物産,日本との交易関係などが載る。如見以前の「諸国土産書」や唐通事林道栄の「異国風土記」,さらには「職方外記」などを参考にしたと推定される。鎖国下の人々に外国の知識を与え,外国地理書として先駆的な意義をもつ。「岩波文庫」「日本経済大典」所収。

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百科事典マイペディア 「華夷通商考」の意味・わかりやすい解説

華夷通商考【かいつうしょうこう】

日本最初の本格的外国地理書。西川如見(じょけん)著。5巻。1695年刊。著者がオランダ人との接触を通じて得た海外事情を叙述。中国,朝鮮,その他アジア諸国から南洋,西欧にいたる国々の風土,産物等を記す。

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旺文社日本史事典 三訂版 「華夷通商考」の解説

華夷通商考
かいつうしょうこう

江戸中期,日本最初の本格的な外国地理書
長崎通詞西川如見の著。1695年刊。2巻。1708年5巻に訂正増補。1・2巻は中国,3巻はアジア諸国,4・5巻はオランダその他の国ぐににつき,それぞれの産物・交通などを記述。

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世界大百科事典(旧版)内の華夷通商考の言及

【世界地理書】より

…なお江戸初期以来長く日本人の世界地理の基礎となったのは,明末清初の中国に在留した耶蘇会士マテオ・リッチ(利瑪竇(りまとう))の《坤輿(こんよ)万国全図》とその地誌的記載,アレーニGiulio Aleni(艾儒略(がいじゆりやく))の《職方外紀》,フェルビースト(南懐仁)の《坤輿外紀》などである。鎖国後,海外通交時代の遺産であり総括ともいうべき長崎の西川如見の《華夷通商考》(1695,増補1708)が出現した。海外諸国への道程や物産,風土などを記した商業世界地理書で,海外知識の普及に大きく貢献した。…

【南蛮寺興廃記】より

…作者不詳。作者および成立年代不明の反キリシタンの俗説書《切支丹根元記》の大略を述べたもので,荒唐無稽な南蛮のキリシタン国等の世界地理は,1695年(元禄8)に西川如見が著した《華夷通商考》によって書き改められた。本書は江戸時代の知識人等の多く利用するところとなり,また実録風の民衆教化の書として大いに流布した。…

※「華夷通商考」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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