頂上にある神祠は蓼科神社奥社で、「三代実録」元慶二年(八七八)九月一六日条に、「授(中略)信濃国正六位上蓼科神(中略)並従五位下」と叙位のことが記されているのが文献上の初見である。
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長野県中央部,八ヶ岳連峰の北にある標高2530mの火山。古い成層火山の古八ヶ岳の上に,角セン石安山岩の溶岩円頂丘がのり,山頂に直径約100mの火口跡がある。山容から諏訪富士ともいわれ,伊藤左千夫の〈信濃には八十の高山ありと言へど女の神山の蓼科我れは〉はこの山の西側からの美しさを歌ったものである。降水や湧水が豊富なため,農業用水源となって北佐久・諏訪両地方の水田をうるおしている。蓼科山の南西麓,標高1200~1800mの緩斜面を蓼科高原といい,滝ノ湯,小斉(こさい),親湯(しんゆ)などの蓼科温泉郷や,その南の渋川に沿った奥蓼科温泉郷,ともに農業用の人造湖である蓼科湖と白樺湖などを中心とした一大観光地となっている。高原の観光開発が急速に進んだのは,1960年に蓼科温泉郷の土地が地元の湯川財産区から民間に買収されてからで,63年の蓼科有料道路(ビーナスラインの一部。86年無料開放)の開通もこの傾向に拍車をかけた。現在では,二つのゴルフ場,テニスコート,プール,スキー場,スケート場も整備され,高原は年間を通じたリゾート地となっている。また西麓のダズマ平から南東にある横岳(2473m)の南にある坪庭まで通じるロープウェーからは,溶岩流地形や森林の縞枯れ現象を見ることができる。佐久市,茅野市からバスが通じる。
執筆者:市川 健夫
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長野県中東部、八ヶ岳連峰(やつがたけ)の北端にある山。標高2531メートル。富士山型火山で、南方は八ヶ岳連峰に続くが三方は広大な裾野(すその)を形成し、諏訪富士(すわふじ)ともよばれる。八合目あたりまでは富士山型であるが、その上は鐘状火山の形式を示している。頂上は岩石が多く、蓼科神社の奥社がある。富士山、日本アルプス、浅間火山、秩父山塊などが展望できる。山頂付近はハイマツが多いが、山腹はトウヒ、シラビソやダケカンバ、シラカンバなどの樹林である。北東の裾野は東蓼科高原、南の裾野は蓼科高原とよばれる。蓼科温泉や大河原(おおがわら)峠からの登山コースがあり、片道約3時間の行程。
[小林寛義]
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