(読み)こ

精選版 日本国語大辞典「戸」の解説

こ【戸】

[1] 〘名〙
① と。とびら。〔易経‐繋辞上〕
② とぐち。部屋や家屋などの出入口。〔老子‐四七〕
③ いえ。家屋。家に住む家族。
※延喜式(927)二二「率租毎戸以限」
※小学入(甲号)(1874)〈間版〉「家に教へざるの父なく戸に習はざるの童なからしめん」 〔楚辞‐離騒〕
戸籍。人別。へふだ。
※小右記‐寛弘八年(1011)七月一日「但入給冷泉院御戸、仍可従父兄弟」 〔晉書‐慕容徳載記〕
⑤ 令制で、行政上、社会組織の単位とされた家。普通は、二、三世帯を含む大家族が多い。五〇戸で一里に編成された。〔令義解(718)〕
⑥ 酒の量。多く語素的に用いる。〔色葉字類抄(1177‐81)〕
[2] 〘接尾〙 家の数を数えるのに用いる。
※令義解(718)戸「凡戸以五十戸里」 〔易経‐訟卦〕

へ【戸】

〘名〙 人戸。民家。また、戸籍。
書紀(720)継体三年二月(前田本訓)「任那の日本の懸邑に(は)む、百済の百姓浮逃(に)げ貫(ヘ)、戸也絶(た)えて三四世(みつきよつきな)りたる者を(ぬ)き出でてに百済に遷して貫(ヘ)に附く」
[補注]「いへ(家)」の「へ」は上代特殊仮名遣では甲類であるところからこの語とは関係がなく、同じ乙類の「へ(竈)」に基づく語といわれる。

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百科事典マイペディア「戸」の解説

戸【と】

ドア。出入口や開口部開閉するための建具総称開き戸引き戸,揚げ戸,掛け戸等があり,使用場所,使用目的,材料,大きさ,様式等により,妻戸(寝殿造における形式の戸),鎧(よろい)戸舞良(まいら)戸猿(さる)戸唐(から)戸枝折(しおり)戸等多種ある。西洋の戸は大半が開き戸で,木製がほとんどだが,青銅製などもあった。 近年は動力で開閉するオートドア(自動扉)が広く普及している。

戸【こ】

古代中国では社会の基礎的単位である〈家〉を〈戸〉として組織し統治の基礎的単位とした。日本には6―7世紀に導入され,部(べ)とは異なる組織原理として施行された。律令制下では若干の法的擬制を加えて編成した戸でもって,郷里(ごうり)制下の郷戸房戸(ぼうこ)が構成された。戸の制は平安中期以降形骸化。

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デジタル大辞泉「戸」の解説

こ【戸】[漢字項目]

[音](漢) [訓] へ
学習漢字]2年
〈コ〉
と。とびら。「戸外門戸
家。「戸主戸数戸籍戸別訪問
酒を飲む量。「下戸げこ上戸じょうご
〈と(ど)〉「戸口戸棚戸袋雨戸網戸井戸
[名のり]いえ・かど・ひろ・もり
[難読]破落戸ごろつき鳴戸なると八戸はちのへ

と【戸/門】

(戸)窓・出入り口などに取り付けて、開閉できるようにした建具。引き戸・開き戸などがある。「―をたてる」「よろいど
出入り口。戸口。かど。もん。
「大き―よりうかがひて」〈崇神紀〉
水の流れの出入りする所。瀬戸。
「淡路島―渡る舟の梶間かぢまにも我は忘れず家をしそ思ふ」〈・三八九四〉
[類語]ドアシャッター雨戸格子戸網戸開き戸引き戸繰り戸大戸妻戸切り戸潜り戸枝折り戸木戸鎧戸門戸門扉

こ【戸】

[名]
と。とびら。また、家屋の出入り口。とぐち。
家。一家。「を構える」
律令制で、行政上、社会組織の単位とされた家。普通は2、3の小家族を含む20~30人の大家族が多い。
[接尾]助数詞。家の数を数えるのに用いる。「戸数500

へ【戸】

民の家。また、それを数える語。
秦人はたひとの―の数、べて七千五十三―」〈欽明紀〉

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世界大百科事典 第2版「戸」の解説

こ【戸】

古代の中国では,社会の基礎的な単位である〈家〉を〈戸〉として組織し,統治の基礎的な単位とした。家が社会的・私法的な存在であるのに対して,戸は政治的・公法的な単位であった。このような戸の制度は,朝鮮諸国を媒介にして日本にも継受され,6~7世紀ごろ,朝鮮からの帰化系氏族を朝廷に組織する際に,〈部〉とは異なる新しい組織原理として,〈戸〉の制度が施行されたと推定される。中国律令では,同居共財の家をそのまま戸とする原則であり,日本律令も〈家長を以て戸主とせよ〉という唐律令の規定をそのまま継受するが,古代日本の家や家長のあり方は,中国とはいちじるしく異なっていた。

と【戸】

建物の出入口に設けられた開閉のできる建具で,出入り以外は外部と内部を遮断する。広義には,窓,戸棚,門,乗物乗降口に用いられる可動のものもいう。
[日本]
 平安時代の《和名抄》では,戸は屋堂にあるもの,扉は門にあるものとし,用いられる建物の種類によって戸と扉を区別しているが,現在では引戸に対して回転式の開き戸を扉といい,機構による違いによって両者を区別するのが普通である。回転式のいわゆる扉の形式が古く,これには〈板扉〉(図1)と〈桟唐戸(さんからど)〉(図2)とがある。

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世界大百科事典内のの言及

【家族制度】より

…次に,これについて述べる。
[明治4年戸籍法による〈家〉制度の形成]
 〈家〉制度の形成に重大な役割を果たしたのは,1871年(明治4)の戸籍法であった。維新政府は,幕末の動乱期に輩出し,すでに新政府にも脅威となりつつあった脱籍浮浪者を〈取り締まる〉ことを手始めに,戸籍の全国的編製によって権力機構の日常的機能を可能とする体制を生み出そうとした。…

【相続】より

…また,相続は,財産法上の地位の承継であって,身分法上の地位(たとえば,夫であること)には及ばない。明治民法では戸主の地位の承継としての家督相続が認められていたが,現行民法はそれを全廃したため,相続は純粋に財産法上の地位すなわち権利・義務の総体の承継となった。なお,財産法上の権利義務であっても,扶養請求権のような一身専属的な性質を有するものは除外される(民法896条但書)。…

【建具】より

…これらの出入りを,ある場合には開口部のように自由に許し,ある場合には壁などのように仕切るという,相反する二つの機能を解決するためのものである。したがって,歴史的には,戸,障子,ふすま,ついたて,屛風のように,動かせる壁として,その二つの機能の解決をはかる機構のものが多い。現代では,建具の機能に対する要求も多様になり,それを解決する技術も進歩したことから,エアカーテンのように建具として受け取られがたい建具も出現している。…

※「戸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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