虞犯少年(読み)グハンショウネン

デジタル大辞泉 「虞犯少年」の意味・読み・例文・類語

ぐはん‐しょうねん〔‐セウネン〕【虞犯少年】

一定事由があり、性格環境から、将来罪を犯したり刑罰法令に触れる行為をしたりするおそれのある20歳未満の者。少年法によって家庭裁判所審判に付される。→非行少年

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共同通信ニュース用語解説 「虞犯少年」の解説

虞犯少年

虞犯ぐはん少年 本人の性格や家庭などの環境から、将来的に罪を犯す恐れがある18歳未満の少年少女。警察から直接、家庭裁判所に送致または児童相談所に通告できる。家裁審判を経て少年院児童自立支援施設に入所することもある。①保護者の正当な監督に服しない②正当の理由なく家庭に寄りつかない③犯罪性のある人と交際したりいかがわしい場所に出入りしたりする―などを要件としている。成人年齢の引き下げに伴う2022年の改正少年法施行で18、19歳は対象外となった。

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精選版 日本国語大辞典 「虞犯少年」の意味・読み・例文・類語

ぐはん‐しょうねん‥セウネン【虞犯少年】

  1. 〘 名詞 〙 その行動や性格、環境などからみて、将来罪を犯すおそれのある二〇歳未満の男女家出、不純異性交遊、怠学などが虞犯事由とされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「虞犯少年」の意味・わかりやすい解説

虞犯少年
ぐはんしょうねん

少年法で規定される非行少年の一種。規定は一定事由のもと性格・環境に照らして将来罪を犯し、または刑罰法令に触れる虞(おそれ)のある少年を審判に付するとしている。この虞犯事由とは、保護者の正当な監督に服しない性癖のあること、正当な理由なく家庭に寄り付かないこと、犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し、いかがわしい場所に出入りすること、自己または他人の徳性を害する行為をする性癖のあること、である。少年審判の結果によって保護手続の対象になる。14歳未満の場合は触法少年とほとんど同じで、都道府県知事または児童相談所長から送致を受けたときに限り審判に付される。ところで、家出、交友不良、怠学、夜間徘徊(はいかい)などの行為は児童福祉法でいう不良行為と重なり、また罪を犯す虞とは客観的に判断することが困難な概念である。したがって、14歳から18歳未満の場合には、保護者または警察は家庭裁判所に直接送致・通告するか児童相談所に通告するか選択できる。

[渡辺則芳]

『矢島正見著『少年非行文化論』(1996・学文社)』『近畿弁護士会連合会少年問題対策委員会編『非行少年の処遇――少年院・児童自立支援施設を中心とする少年法処遇の現状と課題』(1999・明石書店)』『山口幸男著『司法福祉論』増補版(2005・ミネルヴァ書房)』『小林英義著『児童自立支援施設の教育保障――教護院からの系譜』(2006・ミネルヴァ書房)』『岩本健一著『児童自立支援施設の実践理論』改訂版(2007・関西学院大学出版会)』『澤登俊雄著『少年法入門』第4版(2008・有斐閣)』『守山正・後藤弘子編著『ビギナーズ少年法』第2版補訂(2009・成文堂)』

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百科事典マイペディア 「虞犯少年」の意味・わかりやすい解説

虞犯少年【ぐはんしょうねん】

犯罪を犯してはいないが,少年法で規定する一定の不良行状があり,その性格または環境に照らして将来罪を犯す虞(おそ)れがある20歳未満の少年をいう。非行少年の早期発見の観点から虞犯性の徴候に着目するが,虞犯少年の認定・処遇は種々の困難を伴う。家庭裁判所の審判に付される。
→関連項目触法少年

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「虞犯少年」の意味・わかりやすい解説

虞犯少年
ぐはんしょうねん

将来罪を犯し,または刑罰法令に触れる行為をするおそれがある少年をいい,少年法3条では,次の事由にあたる者をあげている。 (1) 保護者の正当な監督に服しない性癖がある少年,(2) 正当な理由がないのに家庭に寄りつかない少年,(3) 犯罪性のある人もしくは不道徳な人と交際し,またはいかがわしい場所に出入りする少年,(4) 自己または他人の徳性を害する行為をする性癖のある少年。家庭裁判所の審判に付される。これとは別に,警察では虞犯ないし虞犯類似の不良行為までを含めて補導の対象としている。

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世界大百科事典(旧版)内の虞犯少年の言及

【少年審判】より

…(2)触法少年 14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした者。(3)虞犯(ぐはん)少年 性格,環境に照らして,将来罪を犯し,または刑罰法令に触れる行為をするおそれのある少年。ただし〈保護者の正当な監督に服しない性癖がある〉〈正当の理由なく家庭に寄りつかない〉〈犯罪性のある人,不道徳な人と交際したり,いかがわしい場所に出入りする〉〈自己または他人の徳性を害する行為をする性癖がある〉という事由のうちのいずれかが認められる場合でなければならない(少年法3条1項)。…

【非行】より

…その行為の主体者を非行者delinquentといい,少年にも成人にもあてはまるが,一般には青少年の反規範行為に対して用いられ,〈少年非行juvenile delinquency〉という場合が多い。日本の少年法では,(1)14歳以上20歳未満で刑法に触れる罪を犯した少年を〈犯罪少年〉,(2)14歳未満で刑法に触れる行為をした少年を〈触法少年〉,(3)保護者への反抗や不良交遊等の傾向が強く将来罪を犯すおそれのある少年を〈虞犯(ぐはん)少年〉と規定している。
[少年非行の動向と特徴]
 第2次大戦後における少年非行の推移を刑法犯検挙人員の人口比(人口1000人に対する割合)でみると,三つの大きな波がみられる。…

※「虞犯少年」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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