虹彩毛様体炎(読み)こうさいもうようたいえん(英語表記)iridocyclitis

  • (眼の病気)
  • ▽虹彩毛様体炎
  • こうさいもうようたいえん〔コウサイモウヤウタイ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

瞳孔周囲の部分の炎症で,視力障害が現れ,さらには進行して失明することもある。若年性リウマチ患者の約3%に発症する。瞳孔の大きさが左右異なったり,光を当てたときの瞳孔の縮小が十分でないことなどで気づかれる。炎症性細胞や蛋白が出現し,これらが細かい沈殿物となって角膜の後面に付着し,失明の原因となる。関節炎が現れる前からの症状が出る場合がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

虹彩と毛様体は近接しているので、一方の炎症は容易に他方に波及する。そのうえ毛様体は臨床的に観察しにくい場所にあるので、両者の炎症を区別するのはむずかしい。そこで、両者をあわせて虹彩毛様体炎ということが多い。また、この疾患は、ぶどう膜の前部にある組織の炎症でもあるので前部ぶどう膜炎ともよばれ、ぶどう膜炎の部分症として、後部ぶどう膜炎(脈絡膜炎)とともに発症することもしばしばある。症状は、自覚的にも他覚的にも虹彩炎より重く、虹彩後(こう)癒着や周辺部虹彩前癒着(虹彩根部と角膜後面との癒着)、硝子体(しょうしたい)混濁、続発緑内障、併発白内障などの合併頻度も高い。虹彩毛様体炎は、虹彩結節や大形の角膜後面沈着物をつくる肉芽(にくが)性炎症と、そうでない非肉芽性炎症に分けられる。肉芽性虹彩毛様体炎は緩慢に発症して慢性進行性に経過し、結核、サルコイドーシス、梅毒、原田病、交感性眼炎などで多くみられ、非肉芽性虹彩毛様体炎は滲出(しんしゅつ)性変化が強く、多くは急性発症する。ベーチェット病やリウマチ性疾患、アレルギー、病巣感染、強直性脊椎(せきつい)炎などでおこる。原因不明も半数近くある。外傷でもおこる。体の他の場所にある化膿(かのう)巣からの転移でおこるもののなかには、全眼球炎となって眼球癆(ろう)に陥り失明するものもある。原因のわかっているものに対しては、まず原因療法を行う。眼局所には散瞳(さんどう)薬とステロイド剤の点眼、必要に応じてステロイド剤の球結膜下注射をする。合併症に対しては手術的療法も行う。

[小暮美津子]

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六訂版 家庭医学大全科の解説

どんな病気か

 虹彩および毛様体が炎症によりはれたり、充血したりする病気をいいます。眼の前のほうに位置する虹彩や毛様体の炎症なので、前部(ぜんぶ)ぶどう膜炎(まくえん)ともいいます。

原因は何か

 原因によってではなく、炎症の起こっている部位に基づいてつけられた病名です。そのため、細菌、ウイルス、真菌(カビ)などによる感染性のものや、免疫反応によって起こるものなど、さまざまな原因によるものが含まれます。原因の特定が難しいこともあります。

 免疫反応によるものとしては、後述する原田病サルコイドーシスベーチェット病などが含まれます。ほかに、若年性関節リウマチ、慢性関節リウマチ強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)、ライター症候群などのいわゆるリウマチ性疾患や、潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)クローン病などの炎症性腸疾患などがあげられます。また、アトピー性皮膚炎に伴って起こることもあります。

症状の現れ方

 急に片眼または両眼の球結膜(きゅうけつまく)(白眼のところ)の充血が起こります。眼は赤くなりますが、結膜炎とは違い、目やには出ません。自覚症状としては、眼が痛くなったり、まぶしく感じたり、見えにくくなったり、眼がかすんだりします。飛蚊症(ひぶんしょう)(黒い小さいものが飛んでいるように見える)が現れることもあります。

検査と診断

 虹彩・毛様体の部分に炎症が認められれば、本症と診断されます。しかし、虹彩や毛様体の炎症を直接みるのは難しいことが多いので、眼のなかに細いスリット状の光を入れて、顕微鏡で観察する検査(細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査)で角膜と水晶体の間の前房水(ぜんぼうすい)に炎症による混濁があるかどうかをみます。

 前述のようにさまざまな全身疾患に合併することが多いので、血液検査、胸部X線検査などを行って、原因疾患が何かを調べることが大切です。

治療の方法

 原因が不明で炎症が虹彩毛様体部に限られている場合は、炎症を抑えるための治療として、ステロイド薬の点眼が基本になります。炎症が強ければ、ステロイド薬を結膜下に局所注射することがあります。時にステロイド薬の内服も併用します。また、散瞳薬(さんどうやく)の点眼をして虹彩と水晶体が癒着(ゆちゃく)するのを予防します。

 経過はおおむね良好ですが、再発も多くみられます。原因が特定できる時は、併せてその治療を行うことが大切です。

病気に気づいたらどうする

 すみやかに眼科を受診し、検査を受けて治療をする必要があります。炎症が起きている状態で放置すると、視力の回復が難しくなり、虹彩と水晶体の癒着を起こし、緑内障(りょくないしょう)の原因になることもあります。

関連項目

 原田病サルコイドーシスベーチェット病交感性眼炎

河本 知栄, 喜多 美穂里

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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