蜉蝣(読み)カゲロウ

デジタル大辞泉 「蜉蝣」の意味・読み・例文・類語

かげろう〔かげろふ〕【蜉蝣/蜻蛉】


《飛ぶ姿が陽炎かげろうの立ちのぼるさまに似ているところからの名》カゲロウ目の昆虫総称。体は繊細で、腹端に長い尾が2、3本ある。はねは透明で、幅の広い三角形。夏、水辺の近くの空中を浮かぶようにして群れ飛ぶ。幼虫は川中のれき上や砂中に1~3年暮らす。成虫は寿命が数時間から数日と短いため、はかないもののたとえにされる。糸遊いとゆう
蜻蛉トンボの古名。 秋》
「―なんどのやうにやせおとろへたる者よろぼひ出できたり」〈平家・三〉
(蜻蛉)源氏物語第52巻の巻名。薫大将、27歳。浮舟失踪しっそうと、その後の薫を描く。

ふ‐ゆう〔‐イウ〕【××蝣】

カゲロウのこと。
1が朝に生まれて夕べに死ぬといわれるところから》人生のはかないことのたとえ。
「―の微命、もとより死を畏れず」〈露伴運命

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精選版 日本国語大辞典 「蜉蝣」の意味・読み・例文・類語

かげろうかげろふ【蜉蝣・蜻蛉】

  1. [ 1 ] ( 飛ぶさまが陽炎(かげろう)のようにひらめくところからの名 )
    1. とんぼ(蜻蛉)」の古名。かぎろう。《 季語・秋 》
      1. [初出の実例]「蜻蛉 本草云蜻蛉〈精霊二音〉一名胡〈音勑加介呂布〉」(出典:十巻本和名抄(934頃)八)
    2. カゲロウ目に属する昆虫の総称。多くは体長一〇~一五ミリメートル。前ばねは透明で大きく、うしろばねは小さく退化し、細い体の後端には二、三本の長い糸状の尾をもつ。春から夏、湖沼河川などに多く、幼虫は水中にすむ。幼虫は二、三年で成虫になるが、成虫の寿命は一時間から長くとも三週間とされ、はかないもののたとえとされる。フタバカゲロウ、ヒラタカゲロウなど種類は多いが、ウスバカゲロウクサカゲロウはアミメカゲロウ(脈翅)目の昆虫で、本来のカゲロウとは分類上異なる。また、「かげろう(陽炎)」と混同して解されることもある。かげろい。《 季語・秋 》
      1. [初出の実例]「ながめ給ふゆふぐれ、かげろふのものはかなげにとびちがふを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)蜻蛉)
  2. [ 2 ] ( 蜻蛉 ) 「源氏物語」第五二帖の名。宇治十帖の第八。薫大将二七歳の春から秋まで。失踪した浮舟の葬儀が営まれ、薫と匂宮はそれぞれの悲しみにくれる。薫は明石中宮法華八講女一の宮に心を動かされるが、結局、思いは宇治の姫君たちに戻っていく。

ふ‐ゆう‥イウ【蜉蝣】

  1. 〘 名詞 〙
  2. カゲロウのこと。ふゆ
    1. [初出の実例]「令汝得蜉蝣短齢。与亀鶴相競」(出典:三教指帰(797頃)中)
    2. [その他の文献]〔詩経‐曹風・蜉蝣〕
  3. ( が朝に生まれ夕べに死ぬといわれているところから ) 人生のはかないことのたとえ。
    1. [初出の実例]「雖蜉蝣心体、羊犬神識、此思此願、常策心馬」(出典:性霊集‐四(835頃)請奉為国家請修法表)
    2. [その他の文献]〔蘇軾‐前赤壁賦〕

かぎろうかぎろふ【蜉蝣・蜻蛉】

  1. 〘 名詞 〙かげろう(蜉蝣)[ 一 ]
    1. [初出の実例]「蜻蛉〈略〉和名加岐呂布」(出典:本草和名(918頃))

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普及版 字通 「蜉蝣」の読み・字形・画数・意味

【蜉蝣】ふゆう(いう)

かげろう。はかないもの、無力なものにたとえる。〔随園詩話、一〕今人未だ韓()・柳(宗元)の門を窺はずして、先づ六ひ、未だ李(白)・杜(甫)の皮毛を得ずして、已に(庭)・李(商隠)を輕んず。何ぞ蜉蝣の多きや。

字通「蜉」の項目を見る

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動植物名よみかた辞典 普及版 「蜉蝣」の解説

蜉蝣 (カゲロウ)

動物。カゲロウ目の昆虫の総称

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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