文書の紙背(裏)に書かれた花押。中世,相手に敬意を示す意味で請文(うけぶみ)の署名の裏に花押を書く習慣があった。このほかに裏判は表の文書が原本であることを確認し,またその効力を裏書き(保証)する目的で多用された。前者には,数枚の紙をはり継いだ文書が一連のものであることを示す継目裏判が,後者には,売券や和与状の裏に奉行が加える裏判や目安(訴状)が法廷に受理された原本であることを示すために,奉行が加える目安裏判などがあった。裏判を受けた目安は,奉行の応訴命令とともに原告によって被告に交付された。近世では,この命令は目安の裏に書き込まれ,花押と合わせて目安裏判と称した。このほかに近世では,幕府の蔵に対する老中の支払命令が受給者の手形(受取状)の裏に書かれることがあり,これを手形裏判といった。また年貢勘定目録や音信物の目録の裏に,受取責任者(勘定奉行,代官や御納戸方)が受取を書いて納入者に返付する目録裏判もあった。
執筆者:高木 昭作
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
古文書の料紙(りょうし)の裏に据えられた判(印章、花押(かおう))のこと。訴陳の状や所領注文(しょりょうちゅうもん)あるいは算用状(さんようじょう)類に受取り側の裏判があるときは、それらの文書が正式な受理・確認や算勘を経たことを証し、その有効性を保障する。作成者の裏判は、請文(うけぶみ)の署判、文言の訂正箇所、証文類で金額・期日など重要な箇所の裏などにみられる。なお、庁裁などにおいて、正式の手続に従い一連の文書が作成される場合には、担当者の裏判がみられる。
[武田 修]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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