裏判(読み)ウラハン

デジタル大辞泉 「裏判」の意味・読み・例文・類語

うら‐はん【裏判】

文書の裏に記す署名・花押かおう押印。表の文面承認・保証するため、または相手方敬意を表すためなどに行う。

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精選版 日本国語大辞典 「裏判」の意味・読み・例文・類語

うら‐はん【裏判】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 文書の紙背に書く花押(かおう)。文面のあとに月日、名を記し、署名部分の紙背に花押を書く。主として中世に行なわれ、文書の差出先に対する丁重さと自分の謙遜を表わす書札礼。
    1. [初出の実例]「頼朝 在裏判」(出典:吾妻鏡‐文治四年(1188)九月三日)
  3. 継目裏判(つぎめうらはん)のこと。複数の紙を継ぎ合わせて書いた文書や巻物の場合、継目の裏に両紙にまたがって書く花押。確かに連続するものであることを証明し、また、後の改竄(かいざん)を防ぐために施す。
  4. 文書の表の文面を承認・保証するために、紙背に書く花押。中世の売券、和与状などには幕府奉行裏書・裏判を加えることが多かった。裏封。
    1. [初出の実例]「くだしふみの案に、中さはかうらはんして候」(出典:上杉家文書‐建武五年(1338)五月二七日・上杉清子消息)
  5. 江戸時代、訴状(目安)を受理した管轄奉行が、紙背に加える裏書、署名、捺印のこと。また、その文書。
    1. [初出の実例]「奉行之裏判を軽々敷相心得候段、不埒之事に候」(出典:御触書天保集成‐一〇四・文政五年(1822)正月)
  6. 実印の一方の端に刻んだ印。多くは代判に用いる。裏印。
    1. [初出の実例]「印判不持人之裏判をかり候て印候由其聞有之」(出典:慶安三年信濃国佐久郡下桜井村五人組御帳(1650))

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改訂新版 世界大百科事典 「裏判」の意味・わかりやすい解説

裏判 (うらはん)

文書の紙背(裏)に書かれた花押。中世,相手に敬意を示す意味で請文(うけぶみ)の署名の裏に花押を書く習慣があった。このほかに裏判は表の文書が原本であることを確認し,またその効力を裏書き(保証)する目的で多用された。前者には,数枚の紙をはり継いだ文書が一連のものであることを示す継目裏判が,後者には,売券や和与状の裏に奉行が加える裏判や目安(訴状)が法廷に受理された原本であることを示すために,奉行が加える目安裏判などがあった。裏判を受けた目安は,奉行の応訴命令とともに原告によって被告に交付された。近世では,この命令は目安の裏に書き込まれ,花押と合わせて目安裏判と称した。このほかに近世では,幕府の蔵に対する老中の支払命令が受給者の手形(受取状)の裏に書かれることがあり,これを手形裏判といった。また年貢勘定目録や音信物の目録の裏に,受取責任者(勘定奉行,代官や御納戸方)が受取を書いて納入者に返付する目録裏判もあった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「裏判」の意味・わかりやすい解説

裏判
うらはん

古文書の料紙(りょうし)の裏に据えられた判(印章、花押(かおう))のこと。訴陳の状や所領注文(しょりょうちゅうもん)あるいは算用状(さんようじょう)類に受取り側の裏判があるときは、それらの文書が正式な受理・確認や算勘を経たことを証し、その有効性を保障する。作成者の裏判は、請文(うけぶみ)の署判、文言の訂正箇所、証文類で金額・期日など重要な箇所の裏などにみられる。なお、庁裁などにおいて、正式の手続に従い一連の文書が作成される場合には、担当者の裏判がみられる。

[武田 修]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「裏判」の意味・わかりやすい解説

裏判
うらはん

文書の裏に押した花押 (かおう) 。文書の内容の承認を意味した。このほか文書が数枚にわたる場合,紙の継ぎ目に裏判を押して,継ぎ目を証明した。

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世界大百科事典(旧版)内の裏判の言及

【奥印】より

…また幕府勘定所などの帳簿にあっても,享保期以降,老中奥印などの形式が詳細に確定している。なお,奥印と同じ機能を持つものに,文書の裏に押される裏判がある。【安藤 正人】。…

※「裏判」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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