日本大百科全書(ニッポニカ) 「西ノ島」の意味・わかりやすい解説
西ノ島(町)
にしのしま
島根県北東部、隠岐(おき)郡の町。隠岐諸島の島前(どうぜん)北西部西ノ島からなる。1島1町。1957年(昭和32)浦郷(うらごう)町と黒木村が合併して成立。旧黒木村は古代三田郷の地で、後醍醐(ごだいご)天皇行在所(あんざいしょ)黒木御所があった地。旧浦郷町は宇良郷の地。南部の内海に臨む別府(べっぷ)港から本土の境(さかい)港や島後(どうご)の西郷(さいごう)港へ定期航路がある。島内を走る県道西ノ島線は、1993年に国道485号に昇格している。かつては広く牧畑(まきはた)がみられたが近年は放牧地となる。水産業が基幹産業で県でも有数の水揚げ高をあげ、天然の良港浦郷港がその拠点である。西部の国賀(くにが)海岸は大山(だいせん)隠岐国立公園を代表する景勝地であり、国指定の名勝・天然記念物。焼火(たくひ)山頂上付近の焼火神社は古くから船乗りの信仰が厚く、トモドとよばれる和船(国指定重要有形民俗文化財)が保管されている。また、焼火神社の本殿、拝殿などは国の重要文化財。「隠岐の田楽」として美田(みた)八幡宮の田楽と日吉(ひよし)神社の庭の舞が国の重要無形民俗文化財に指定されている。面積55.96平方キロメートル、人口2788(2020)。
[江村幹雄]
『『黒木村誌』(1968・黒木村)』