言霊(読み)コトダマ

百科事典マイペディアの解説

言葉に宿る霊の古代の日本人は言葉に宿る霊力が,言語表現の内容を現実に実現することがあると信じていた。言霊の信仰によって言葉を積極的に使って言霊をはたらかせようとする考えと,言葉の使用をつつしんだり避けたりする考えとの二つの面がある。日本では和歌において言霊の思想がうけつがれ,のちの時代にまで影響を与えた。
→関連項目寿詞

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世界大百科事典 第2版の解説

ことばに宿る霊の意。古代の日本人は,ことばに霊が宿っており,その霊のもつ力がはたらいて,ことばにあらわすことを現実に実現する,と考えていた。言霊という語は,《万葉集》の歌に,3例だけある。山上憶良長歌に,〈そらみつ 倭(やまと)の国は 皇神(すめがみ)の 厳(いつく)しき国 言霊の 幸(さき)はふ国と 語り継ぎ 言ひ継がひけり〉(巻五)とうたわれ,《柿本人麻呂歌集》にも収める歌には,〈言霊の八十(やそ)の(ちまた)に夕占(ゆうけ)問ふ占(うら)正(まさ)に(の)る妹(いも)はあひ寄らむ〉〈磯城島(しきしま)の日本(やまと)の国は言霊の幸(さきは)ふ国ぞま幸(さき)くありこそ〉とうたわれている。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① 古代、ことばにやどると信じられた霊力。発せられたことばの内容どおりの状態を実現する力があると信じられていた。
※万葉(8C後)一三・三二五四「しき島のやまとの国は事霊(ことだま)のたすくる国ぞまさきくありこそ」
② 予祝の霊力を持った神の託宣。
※堀河百首(1105‐06頃)冬「こと玉のおぼつかなきに岡見すと梢ながらも年をこす哉〈源俊頼〉」

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世界大百科事典内の言霊の言及

【言語遊戯】より


【起源】
 おそらくすべての〈遊び〉と同様に,言語遊戯もその根本は呪術的,祭儀的,神事的であると思われる。単なる日常的コミュニケーションのための記号ではなく,言語そのものに〈言霊(ことだま)〉がそなわっているという古代的信仰は洋の東西を問わず遍在している。したがって,逆にいえば,祈禱文や呪文から呪術性・秘教性を取り去るならば,純粋なゲームに見えてくることになる。…

【ことば(言葉)】より

…一般日常の言語行為は〈いう〉で示されているが,それに対して〈言〉〈言挙げ〉〈言立つ〉などは〈いう〉とは区別される改まった言葉づかいに属し,そうした〈言〉においてのみ〈事〉をなしとげる呪力を持つと信じられたのである。〈ことだま(言霊)〉とはこのような特定の言語への信頼をあらわした語で,おそらく〈ことだま〉は神授のものと意識されていたであろう。 したがって,〈事〉と区別された〈言〉のみを意味する〈ことば〉という語の出現には,〈言・事〉の分化,言語そのものへの自覚の高まりが示されている。…

※「言霊」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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