証人喚問(読み)ショウニンカンモン

デジタル大辞泉 「証人喚問」の意味・読み・例文・類語

しょうにん‐かんもん〔‐クワンモン〕【証人喚問】

裁判所や国の機関などが、事実を問いただすために証人を呼び出すこと。特に、衆参両議院に認められている国政調査権に基づき、両院国政に関する重要な事柄について証人を呼び出し、証言記録提出を求めること。
[補説]参考人招致とは異なり、正当な理由なく出頭や証言・記録の提出を拒否した場合、禁錮または罰金が科される。また、偽の証言をすると偽証罪に問われることがある。

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共同通信ニュース用語解説 「証人喚問」の解説

証人喚問

衆参両院は憲法62条に基づく国政調査権を行使する強制的手段として、証人の出頭、証言、記録提出を求めることができる。参考人招致と違い、正当な理由なく出頭や証言を拒否したり、宣誓後に偽証したりした場合は刑罰の対象になる。証人が病気で出席できない場合は、委員を病院などに派遣しての尋問も可能。直近では2018年3月27日の衆参予算委員会で、森友学園に関する財務省決裁文書改ざんを巡り、元国税庁長官の証人喚問が実施された。

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精選版 日本国語大辞典 「証人喚問」の意味・読み・例文・類語

しょうにん‐かんもん‥クヮンモン【証人喚問】

  1. 〘 名詞 〙 裁判所や議会、国の機関などが法律上の手続きとして事実を問いただすために証人を呼び出すこと。
    1. [初出の実例]「琉球政府の裁判所は軍要員にたいして証人喚問の権限をもたない」(出典:カクテル・パーティー(1967)〈大城立裕〉後)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「証人喚問」の意味・わかりやすい解説

証人喚問
しょうにんかんもん

国政調査の一環として、国会が不正や疑惑の解明のため、強制的に証人に出頭を命じ、問いただすこと。議院証言法では、証人が偽証した場合には3か月以上10年以下の懲役、正当な理由のない証言拒否も1年以下の禁錮または10万円以下の罰金など、厳しい刑罰が規定されている。証人喚問の手続を定めた議院証言法は終戦直後に隠匿物資摘発に関連してできた法律のため、人権保護への配慮が十分ではなく、ロッキード事件(1976)などで行われた証人喚問でも「人権無視」の批判が起こり、1988年(昭和63)に、証人に補佐人をつけることや尋問中のテレビ、カメラの撮影は許可しないなどの改正をした。

 しかし、1998年(平成10)10月の議院証言法改正で
(1)証人喚問を実施する委員会の委員長(または両院合同審査会長)が証人の意見を聴いたうえで、委員会(または両院合同審査会)に諮って許可する
(2)証人は意見を述べるにあたっては、その理由について説明することを要しない
との条件をつけて撮影、録音が許されるようになった。だが、これでは、証人の意向に反しても、委員長の方針しだいで喚問が行われることになり、証人への人権侵害の可能性があるとの指摘も出ている。

 1999年12月14日には、参議院の財政・金融委員会で、強引な債権取り立てで問題となった商工ローンの日栄社長松田一男と、商工ファンド社長大島健伸(けんしん)に対する証人喚問が行われ、20年ぶりのテレビ中継、写真撮影が行われた。委員会の冒頭、委員長平田健二は「証人は『なるべくなら撮影と録音は辞退したい』という意見でした」と、松田の意見を紹介してから、証言中の撮影、録音の可否を採決、19人の委員は全員、「賛成」の挙手をした。

 証人喚問に関しては、ロッキード事件、リクルート事件(1988)、東京佐川急便事件(1992)など、政治家を巻き込んだスキャンダルが明るみに出るたびに行われてきた。しかし、国会議員には検事のような強制的な捜査権がなく、野党の尋問は、新聞記事などに頼った迫力のないものがほとんどであった。真相究明にはほど遠いため、証人喚問をしてもむしろ政治不信が強まるという状況になっている。

[橋本五郎]

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知恵蔵 「証人喚問」の解説

証人喚問

国会の国政調査権を定めた憲法62条に基づく制度で、議院証言法で証人の出頭義務、尋問の仕方、偽証の罪などを定めている。国政調査の有力な武器になっているが、与党側が応じないことが多く、スキャンダルが明るみに出ると証人喚問を巡って激しい攻防が行われる。2001年2月28日には村上正邦・元自民党参院議員会長がKSD事件で証人喚問され、翌日に受託収賄容疑で逮捕された。第154通常国会でも、鈴木宗男衆院議員が喚問された。証人喚問にはロッキード事件、リクルート事件、東京佐川急便事件など、政治とカネに絡んだ問題が多いが、戦後まもなくは物資隠匿問題を追及する例が多く、近年は薬害エイズ事件で厚生(現・厚生労働)省の幹部や学者が喚問されている。証人喚問のテレビ中継は「人民裁判のようで人権保護の上で問題」という声が上がり、1988年に尋問中のテレビ撮影などが禁止されたが、98年10月に法改正が行われ、解禁された。

(星浩 朝日新聞記者 / 2007年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「証人喚問」の意味・わかりやすい解説

証人喚問
しょうにんかんもん

議案審査や調査にあたり議会の委員会などが議員の国政調査権に基づき,事実発見のために当事者や関係者などに出頭を求め行う喚問。証人喚問については出頭が強制され,宣誓も行うため,偽証があった場合には刑罰の対象となる。ただ,証人喚問は公開裁判の様相を呈することも多いため,1988年議員証言法が改正され,弁護士などの補佐人の選定や院外での証言が認められ,また尋問中の撮影の不許可,偽証罪による告発にも出席委員の3分の2以上の賛成を要することなどが定められた。これによりリクルート事件に際しては,病院での臨床尋問や音声だけの証人喚問が行われた。

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