江戸幕府が旗本・御家人を対象として発布した法令。万石以上の大名に対して出された武家諸法度に対応するもので,1635年(寛永12)3代徳川家光のとき,64年(寛文4)4代家綱のときの2度出された。旗本・御家人の遵守すべき規律を定めた23ヵ条からなり,内容は,忠孝,軍役,兵具,屋作,嫁娶,振舞,音信,喧嘩,火事,反逆殺害盗賊人,知行所務,境論,百姓公事,跡目,徒党,衣服など広範囲にわたる詳細な規定である。特徴としては,この法度によって大名と旗本の区別が明確となったこと,末期(まつご)養子を認めなかったこと,旗本・御家人に倹約を命じたことなどがあげられる。寛永12年令に先だつものとして寛永9年の条目があるが,これは諸物頭・諸奉行に対して出されたものであり,厳密な意味では諸士法度とは言えない。5代綱吉以降は,内容が武家諸法度と似ているとの理由で出されなくなった。
執筆者:藤井 譲治
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旗本法度ともいう。江戸幕府が定めた法令で、幕府の直参(じきさん)家臣である旗本・御家人(ごけにん)統制のための基本法令。大名統制の基本法令である「武家諸法度」に照応し、1632年(寛永9)に発布され、35年に整備された。全23か条よりなる。忠孝、軍役、倹約、嫁娶(よめとり)、振舞(ふるまい)、音信(おんしん)、喧嘩(けんか)口論、火事、召抱(めしかかえ)、知行(ちぎょう)、諍論(そうろん)、百姓公事(くじ)、相続、徒党、商売、衣類など多方面にわたって、直参家臣の守るべき規準を示している。第2条の軍役規定は、33年の軍役令の制定に対応し、第15条では、旗本相互の諍論を禁じて、山論・水論を幕府の法体系のなかに吸収した。5代将軍徳川綱吉(つなよし)以降廃止され、「武家諸法度」をもってこれにあてた。
[藤野 保]
江戸幕府が旗本・御家人に対して発した基本法令。3代将軍徳川家光のとき,大名に対し武家諸法度が発せられたのに対応して,1635年(寛永12)に公布。23カ条からなり,忠孝・軍役・兵具・屋作・嫁娶・振舞・音信・喧嘩口論・火事・知行所務・知行境野山水論・百姓公事(くじ)・跡目(末期(まつご)養子を認めない)・徒党・従者の衣類など,内容は多岐にわたる。4代家綱の64年(寛文4)にも発布。条数はかわらなかったが,知行境野山水論の条項などを削除し,新規寺社建立の条項などを加え,50歳以下の末期養子を認めるなどの修正を施した。5代綱吉以降は発令されず,武家諸法度が大名以下幕府直参にとって基本法となった。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
…弟のための敵討は異例であるが,江戸初期にはほかにも例がある。この事件は幕府創立期の大名と旗本の対立,大名の家臣統制の困難を示すが,幕府は35年と63年(寛文3)の〈諸士法度〉で,旗本が他家の犯罪者を庇護することを禁じ,領主の犯罪者追及権を明定した。伊賀越道中双六【平松 義郎】。…
※「諸士法度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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