日本歴史地名大系 「豊後高田市」の解説 豊後高田市ぶんごたかだし 面積:一二四・五七平方キロ国東(くにさき)半島西部の基部に位置し、東は西国東郡大田(おおた)村・東国東郡安岐(あき)町、南は速見郡山香(やまが)町、北は西国東郡真玉(またま)町、西は宇佐市および周防灘に面する。東に屋(や)山(五四三・四メートル)、南には西叡(さいえい)山(五七一メートル)、応利(おうり)山(二九七・六メートル)がそびえる。市の中央部を流れる桂(かつら)川は半島随一の川で、「豊後国志」には高田(たかだ)川とみえる。同書によると、武蔵(むさし)郷両子(ふたご)山(七二〇・八メートル)の南渓に発し、途中波多方(はだかた)川を合し菊山(きくやま)ノ水を導いて、さらに相原(あいわら)川・蕗(ふき)川・松行(まつゆき)水(都甲川)を合し、高田・芝崎(しばさき)を経て海に入るという。延長二九・四五七キロ、二級河川。流域には広範な農業地帯を形成している。江戸期に造成された呉崎(くれさき)地区の干拓地は野菜栽培中心の農業地帯。市域西部を宇佐市から真玉町にかけて国道二一三号が走り、主要地方道豊後高田―国東線、豊後高田―安岐線の起点として、また国東半島西部へのバスの発着点として交通の要衝に位置し、半島西部の政治・経済・教育・文化の中心地でもある。〔原始〕縄文遺跡で代表的なものは森(もり)貝塚である。昭和五年(一九三〇)に発掘調査が行われ、貝層の中から人骨・磨消縄文土器・条痕文土器・石斧・石鏃・貝輪・骨角器などが出土している。ほかに来縄(くなわ)の字貝殻塚(かいがらづか)の来縄貝塚などがある。弥生時代の遺跡は市内各所にみられる。県下でも数少ない板付式土器が出土する水崎(みずさき)貝塚は字平井の寄藻(ひらいのよりも)川の自然堤防上にあり、真中(まなか)の字戸原(とばる)にある戸原台(とばるだい)遺跡は弥生前期から中期にかけての集落跡とみられている。中期から後期にかけては小田原の迫田(こだわらのさこだ)遺跡、来縄の来縄北遺跡から甕棺が、美和の殿屋敷(みわのとのやしき)遺跡からは銅戈二本が出土している。宇佐平野から真玉町金屋の大塚(かなやのおおつか)古墳に至る旧海岸線沿いの丘陵地には比較的大きい古墳がみられる。草地の猫石丸山(くさじのねこいしまるやま)古墳は全長約六〇メートルの前方後円墳、新栄の入津原丸山(しんえいのにゆうづばるまるやま)古墳は後円部径四五メートルで、幅二〇メートルの周湟をもつ古墳時代前期の帆立貝式古墳で、明治三四年(一九〇一)頃の発掘で鏡・勾玉・刀・剣などが出土したという。いずれも県指定史跡。ほかに市内では消滅したものも含めて四十数基が確認されている。神人車馬龍虎画像鏡(県指定文化財)の出土した草地の鑑堂(かがみどう)古墳も円墳であったが、現在ほとんど消滅している。後期にあたる美和の穴瀬(あなんせ)横穴群は一九基あり、同心円文の装飾をしたものもみられる。〔古代〕市域は「和名抄」に記載される国東郡来縄郷・田染(たしぶ)郷に含まれた。 豊後高田市ぶんごたかだし 2005年3月31日:豊後高田市と西国東郡香々地町・真玉町が合併⇒【香々地町】大分県:西国東郡⇒【真玉町】大分県:西国東郡⇒【豊後高田市】大分県 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「豊後高田市」の意味・わかりやすい解説 豊後高田〔市〕ぶんごたかだ 大分県北東部,国東半島の西半分を占め,周防灘に臨む市。1954年田染村を編入して市制。1955年封戸村の一部を編入。2005年香々地町,真玉町と合体。中心市街地の高田は鎌倉時代初期に大友氏の豊後入国に随行した高田氏の築城に始まるといわれ,文禄3(1594)~慶長6(1601)年は竹中氏 1万5000石の城下町。のち,中津藩細川氏などを経て寛文9(1669)年以後は国東半島西部を領した島原藩松平氏の陣屋町として発達した。当時の陣屋跡のある桂川右岸の玉津台地は市の行政中心地区。左岸の自然堤防上の高田地区は,玉津の対向集落として発達した商業地区である。農村部では米作のほか,タバコ,ミカンの栽培が行なわれ,沿岸部では遠浅を利用して養殖漁業が行なわれる。県北国東テクノポリスの中核都市として集積回路関連企業が進出。市域には国宝の富貴寺大堂,国指定重要文化財の仏像 9体が保管されている真木大堂,国の史跡・重要文化財である熊野磨崖仏のほか,石造宝塔,板碑など仏教文化の重要な遺跡が多い。長岩屋天念寺は国の重要無形民俗文化財の修正鬼会を伝える。北部の中山仙境と呼ばれる竹田川上流の夷谷(えびすだに)は景勝地で,一帯は瀬戸内海国立公園に,山地部分の多くは国東半島県立自然公園に属する。国道213号線が通じる。面積 206.24km2。人口 2万2112(2020)。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by