さまざまな経済主体の行動に影響を与える要因として,それぞれが保有する資産の大きさを挙げることができる。この資産効果は,もう一つの主要因である所得効果(所得効果・代替効果)と併置されるものである。経済学で資産効果が初めて問題となったのは,J.M.ケインズの消費関数をめぐってであった。ケインズは《一般理論》で,消費を決定するおもな要素として国民所得を挙げて,限界消費性向の大きさが,投資や財政支出の乗数効果(〈乗数理論〉の項参照)と密接な関係をもつということを強調した。それに対して,新古典派の経済学者たちの間から,消費を決定するもう一つの重要な要因として,保有資産の残高が挙げられ,資産効果の存在が,ケインズの乗数効果に無視しえない影響を与えるということを指摘した。その代表的な経済学者はA.C.ピグーであったので,資産効果はしばしばピグー効果とも呼ばれる。
現在,資産効果は狭い意味でのピグー効果だけでなく,もっと一般的な意味に用いられている。とくに,合理主義的な経済学の立場をとる人々のなかには,経済行動を決定する主要因は,すべての種類の資産(労働力を生み出す人的資本まで含めて)の純価値を総計した純国民資産の大きさであると主張し,資産効果こそ最も重要な概念であると考える経済学者もいる。
執筆者:宇沢 弘文
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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