赤ちゃんポスト(読み)アカチャンポスト

デジタル大辞泉 「赤ちゃんポスト」の意味・読み・例文・類語

あかちゃん‐ポスト【赤ちゃんポスト】

新生児乳児養育放棄したい親が、病院などに匿名で子を託すための設備。多く、小さな扉から屋内保育器などに子を入れる仕組みで、利用があると、センサーが作動し係員に知らせる。託された子は乳児院児童養護施設に引き取られる。
[補説]子の養育に行き詰まった親による虐待育児放棄を防ぐ目的で、それに至る前の親に「逃げ道」を与えるための設備だが、法的な問題点も指摘されている。2000年、ドイツハンブルクが初の例で、日本では平成19年(2007)熊本の慈恵病院が最初に設置。

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共同通信ニュース用語解説 「赤ちゃんポスト」の解説

赤ちゃんポスト

さまざまな事情で親が育てられない子を匿名でも受け入れる施設。日本ではドイツの取り組みを参考に、熊本市の慈恵病院が2007年に「こうのとりのゆりかご」の名称で初めて導入し、24年度までに193人が預けられた。東京都墨田区の賛育さんいく会病院は25年3月、匿名での受け入れと、妊婦が病院以外に身元を明かさない「内密出産」の受け入れを始めた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「赤ちゃんポスト」の意味・わかりやすい解説

赤ちゃんポスト
あかちゃんぽすと

諸事情により親が養育できない赤ちゃん(新生児)を匿名で預かる施設の呼称。国内で初めて認可されたのは、熊本市西区にある慈恵病院が設置した施設「こうのとりのゆりかご」である。2006年(平成18)12月、慈恵病院は熊本市に赤ちゃんポストの設置を申請し、厚生労働省が「(設置を)認めない合理的な理由はない」と容認見解を示したことから、熊本市は2007年4月設置を許可、慈恵病院は5月から「こうのとりのゆりかご」の運用を開始した。

 「こうのとりのゆりかご」は、病院の外壁に扉(横60センチメートル、高さ50センチメートル)を設置し、扉の中(建物内部)に新生児収容のため保温した保育器を置く。扉が開けられるとセンサーが作動してブザーが鳴り、待機している助産師・看護師らがモニターテレビで新生児を確認したのち保育器に駆けつけ保護し、医師が健康チェックをする仕組みとなっている。親の匿名性確保のため外側に監視カメラなどは設置しないが、考え直したときに連絡をすることができるよう、保育器の中に病院の相談窓口の連絡先などを明記した親宛(あ)ての手紙を置く。病院側が新生児を保護したのち、警察署児童相談所、市役所などに連絡すると、戸籍法に基づき市長が新生児の氏名をつけ戸籍を作成する。その後、新生児は児童相談所から乳児院へ移り2歳まで育てられ、以降は児童養護施設や里親のもとで養育されることとなる。赤ちゃんポストについては「子捨ての助長につながる」などの批判もあるが、病院側は「こうのとりのゆりかご」はあくまでも緊急避難的な措置であるとし、利用前の相談の重要性を訴え、院内の相談窓口では24時間体制で相談を受け付けている。

 同様の制度は、中世ヨーロッパの修道院にも存在していたが、慈恵病院が参考にしたのは、2000年にドイツの市民団体が開設した「ベビークラッペBaby Klappe」といわれる施設である(Klappeは、郵便箱のふた、ベッドなどの意味をもつドイツ語)。日本でも、1986年(昭和61)群馬県に「天使の宿」という施設が設置されたが、活動はボランティアが中心であり、預ける場所で死亡した乳児がみつかったことなどから1992年に廃止された。

[編集部]

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