助長(読み)じょちょう

故事成語を知る辞典「助長」の解説

助長

成長させようと、無理な手助けをすること。むだに力を添えて、かえって害を与えること。

[使用例] 仮令たとい幾年でも清潔なすまいをした彼は天性を助長して一種の習慣を養った[長塚節*土|1910]

[使用例] 母の言葉が、彼の健康についての不安を助長していたところもあるようだが[末川博*彼の歩んだ道|1965]

[由来] 「孟子こうそんちゅう・上」に載っている話から。紀元前四世紀ごろ、戦国時代の中国でのこと、そうの国に、自分の畑のがなかなか成長しないのを心配して、苗の芯を引っ張って伸ばそうとした人がいました。作業を終えて疲れ切って家に帰って言うことには、「われ、苗を助けて長ぜしめたり(私は、苗が成長する手伝いをしてきたよ)」。びっくりした子どもが畑を見に行ったところ、苗は枯れてしまっていたということです。

[解説] ❶孟子は、続けて「今の世の中は、これと似たようなことをしている人ばかりだ」と述べています。自分の中にある、立派な「」の心をきちんと育てる方法を知らず、かえって損なっている人ばかりだ、というのが、その主張。この「立派な『義』の心を育てる」ということも、「浩然の気を養うという故事成語になっています。❷単純に「成長を手助けする」という意味で使われている例も、見かけます。しかし、元の話のポイントは、かえって苗を枯らしてしまったところにありますから、「成長を手助けして、かえって害を与える」という意味で使う方が適当でしょう。実際、現在では、意識的にせよ無意識にせよ、何かにはたらきかけて、悪い傾向がいっそう強まるような結果を導いてしまう場合に、多く使われています。

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精選版 日本国語大辞典「助長」の解説

じょ‐ちょう ‥チャウ【助長】

〘名〙
① (苗の生長をはやめようとした宋の人が、苗を引き抜いて駄目にしてしまったという「孟子‐公孫丑・上」の故事から) 不要な力添えをして、かえって害になること。
② 好ましくない傾向をいっそう強めること。転じて、物事の成長発展に外から力をそえること。
※山鹿語類(1665)二一「博奕逸楽の禁は皆通制なり。世或は佳辰令節に因って、の日相許して之れを行はしむ。是れ彼れをして不義の機以て助長せしむるなり」
※戦後の文学(1895)〈内田魯庵〉「意外なる文明の進歩を助長(ヂョチャウ)する事」

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デジタル大辞泉「助長」の解説

じょ‐ちょう〔‐チヤウ〕【助長】

[名](スル)
力を添えて、ある物事の成長や発展を助けること。また、ある傾向をより著しくさせること。「国際交流を助長する」「不安を助長する」
《苗を早く生長させようと思った宋の人が苗を引き抜いて枯らしてしまったという「孟子」公孫丑上の故事から》不必要な力添えをして、かえって害すること。
[類語]荷担助ける

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通「助長」の解説

【助長】じよちよう(ちやう)

無理に助けて大きくする。〔孟子、公孫丑上〕宋人(そうひと)に、其の(なへ)の長ぜざるを閔(うれ)へて、之れを(ぬ)くり。~曰く、今日(つか)れたり。予(われ)を助けて長ぜしむと。其の子趨(はし)りてき之れをれば、則ち槁(か)れたり。

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