赤報隊(読み)セキホウタイ

デジタル大辞泉 「赤報隊」の意味・読み・例文・類語

せきほう‐たい【赤報隊】

明治維新期に結成された草莽そうもう隊の一。関東東北の脱藩士や豪農商を隊員として相楽総三らによって組織された。年貢半減を掲げて進んだが、のち、偽官軍として処断された。

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改訂新版 世界大百科事典 「赤報隊」の意味・わかりやすい解説

赤報隊 (せきほうたい)

1868年(明治1)1月,鳥羽伏見の戦に勝利した討幕側が組織した官軍先鋒隊の一つ。綾小路俊実・滋野井公寿の2卿を擁立し,京都の処士と元新撰組脱隊士,岩倉具視の内意を受けて来た近江水口藩士,西郷隆盛指令を受けて加わった相楽(さがら)総三とその同志,などが寄り集まって近江松尾山で結成した。元新撰組隊士鈴木三樹三郎,水口藩士油川錬三郎とともに隊長となった相楽は,新政府に建白をして年貢半減令布告のことをひき出し,その後は新政と年貢半減令をともに布告しながら進軍した。新政府は財政上の理由から政策を転換し赤報隊を京都に呼び戻す。二・三番隊は引きかえすが,相楽の一番隊だけは,なお官軍東征の成否碓氷峠の攻略にあるとの判断から東山道へと進軍をつづけた。この隊の周りには世直しの動きを生むようになるが,新政府によって〈偽官軍〉の名の下に捕らえられ同年3月に信州下諏訪において処刑され,隊は最終的に解隊した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「赤報隊」の意味・わかりやすい解説

赤報隊
せきほうたい

戊辰(ぼしん)戦争期の官軍先鋒(せんぽう)隊の一つ。1868年(慶応4)1月に西郷隆盛(たかもり)や岩倉具視(ともみ)の指令を受けた草莽(そうもう)が、綾小路俊実(あやのこうじとしざね)、滋野井公寿(しげのいきんひさ)二卿(きょう)を擁して近江(おうみ)松尾山にて結成した。三隊編成をとり、一番隊は相楽総三(さがらそうぞう)とその同志、二番隊は元新選組脱隊士、三番隊は近江(おうみ)水口(みなくち)藩士を中心として編成。東海道鎮撫使(ちんぶし)付属を命ぜられ、年貢半減を布告しつつ進軍したが、新政府の政策転換のために京都へ呼び戻された。しかし相楽の隊だけは、独自の情勢判断から東山道(とうさんどう)の碓氷(うすい)峠攻略を目ざして進軍を続けた。総督府は農民層を多く編成したこの隊が、民衆と結ぶことを恐れて弾圧し、相楽らは3月に「偽(にせ)官軍」の名の下に信濃(しなの)国下諏訪(しもすわ)にて処刑された。

[高木俊輔]

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百科事典マイペディア 「赤報隊」の意味・わかりやすい解説

赤報隊【せきほうたい】

草莽(そうもう)隊の一つ。隊長は相楽(さがら)総三で,公卿の綾小路俊実(としざね),滋野井公寿(きんひさ)をいただき同志約300人とともに1868年2月近江(おうみ)愛知川(えちがわ)で組織。指導部は浪人・学者・医者など,一般隊士は農民。新政府東山道軍の先鋒(せんぽう)をつとめ,旧幕領に対して年貢半減を宣伝,隊の周辺には世直しの動きが生まれるが,新政府により〈偽(にせ)官軍〉とされ,同年3月信州下諏訪で壊滅。
→関連項目偽官軍

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「赤報隊」の解説

赤報隊
せきほうたい

1868年(明治元)1月の鳥羽・伏見の戦後,官軍編成に先立ち結成された草莽(そうもう)隊。3隊編成をとり各地の情勢探索と勤王誘引を任務とした。相楽(さがら)総三を隊長とする1番隊は,旧幕領に対して年貢半減令を布告しつつ進軍し,途中維新政府の方針変更により引返しを命令されたが,官軍先鋒嚮導(きょうどう)隊と名のって東山道を進軍。同年3月3日信濃国下諏訪において偽(にせ)官軍の名のもとに解隊させられた。

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旺文社日本史事典 三訂版 「赤報隊」の解説

赤報隊
せきほうたい

1868年戊辰 (ぼしん) 戦争に参加した,相楽 (さがら) 総三の指揮する草莽 (そうもう) (民間)の部隊
官軍の先鋒として「年貢半減」をかかげながら東山道を東進したが,東山道総督府から「偽官軍」とされ,相楽らは殺された。

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