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平安中期の女流歌人。生没年不詳。1041年(長久2)以後八十数歳で没した。赤染時用(ときもち)の女。母が初め平兼盛の妻だったので,兼盛女ともいわれる。藤原道長の妻倫子の女房となり,父が右衛門志(うえもんのさかん)や尉(じよう)であったので赤染衛門と呼ばれる。大江匡衡と結婚し,挙周(たかちか),江侍従をもうける。和泉式部,清少納言,紫式部,伊勢大輔らと交流し,《賀陽院水閣歌合》《弘徽殿女御十番歌合》などに出詠し,晴(はれ)の歌人として和泉式部よりも高く評価されることもあった。《拾遺集》以下の勅撰集に94首入集。家集《赤染衛門集》を残し,《栄華(花)物語》前編の作者にも擬されている。良妻賢母型の女で,匡衡が中納言を辞そうとしていた藤原公任に上表文の執筆を頼まれた際,公任の誇り高い性格に注目して,先祖の高貴さと現在の沈淪の様を記すよう助言し,その上表文が公任を喜ばせた話(《袋草紙》)や,息子の挙周が重病にかかったおりに,住吉に詣で〈代らむと思ふ命は惜しからでさても別れむほどぞ悲しき〉と詠んで神の感応を得て平癒させたという話(《今昔物語集》)が伝わっている。
執筆者:上野 理
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生没年不詳。平安中期の女流歌人で中古三十六歌仙の一人。右衛門尉赤染時用(ときもち)の娘。ただし平兼盛(かねもり)の妻が時用と再婚後に生まれたことから、兼盛の娘かともいわれる(『袋草紙』)。大江為基(おおえのためもと)との恋愛を経てその従弟(いとこ)大江匡衡(まさひら)と結婚、挙周(たかちか)、江侍従(ごうのじじゅう)らをもうけた。関白道長夫人倫子(りんし)ならびにその子上東門院彰子(しょうし)に仕え、清少納言、和泉(いずみ)式部、紫式部らとも交友があった。1001年(長保3)、1009年(寛弘6)の再度、夫とともに任国尾張(おわり)に下向、良妻賢母の誉れ高く、『紫式部日記』がその人柄を伝えている。歌人としては『後十五番歌合』『鷹司殿(たかつかさどの)倫子七十賀屏風歌(びょうぶうた)』の作者で、1035年(長元8)『関白左大臣頼通(よりみち)歌合』などに活躍、「やすらはで寝なましものを小夜(さよ)ふけてかたぶくまでの月を見しかな」など温厚典雅な歌風で知られる。1041年(長久2)曽孫(そうそん)匡房(まさふさ)の誕生を祝った歌があり、その後まもなく80余歳で没したらしい。家集に流布本、異本2種の『赤染衛門集』があり、前者はほぼ年次配列された雑纂自撰(ざっさんじせん)本、後者は類纂他撰本である。
[犬養 廉]
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(松田豊子)
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生没年不詳。平安中期の歌人。赤染時用(ときもち)の女だが,母ははじめ平兼盛(かねもり)の妻で,身ごもったまま時用と再婚したともいう。大江匡衡(まさひら)の妻。子に挙周(たかちか)・江侍従(ごうじじゅう)。藤原道長の女上東門院彰子に仕えた。良妻賢母として知られ,長寿を保ち晩年まで歌壇で活躍した。1041年(長久2)までの生存が確認できる。「栄花物語」正編30巻の作者の有力候補。中古三十六歌仙の1人。「拾遺集」以下の勅撰集に約93首入集。家集「赤染衛門集」。
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出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
…《源氏物語》にならい毎巻巻名がつけられており,巻三十〈鶴の林〉までを正編,巻三十一〈殿上の花見〉以下10巻を続編とし,続編は正編の作者とは別人によって書き継がれていったものと考えられる。伝承された作者の中では赤染衛門が道長の室倫子(りんし)に仕えて宮廷貴族の事情に通じていたこと,晩年出家して僧尼とも親交のあったことなど,経歴・年齢・才能からみて有力であるが,史料を多く用いて書く歴史物語の性質上,作者というよりむしろ正編の編者と見るべきである。続編の編者は未詳であるが,宮廷に仕えた女房階級の中に求められるであろう。…
…両平氏とも中・下級貴族で,やはり歌人を多く生んでいる。平安中期の歌人で上東門院女房の赤染衛門(あかぞめえもん)は,一説に光孝平氏篤行の子で歌人の兼盛の娘といわれている。【飯田 悠紀子】。…
※「赤染衛門」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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