赴戦江(読み)ふせんこう(英語表記)Puch`ǒn-gang

改訂新版 世界大百科事典 「赴戦江」の意味・わかりやすい解説

赴戦江 (ふせんこう)
Puch`ǒn-gang

朝鮮半島北端を流れる鴨緑江支流全長約100km。蓋馬(かいま)高原の遮日峰(2506m)等から発し,高原上の緩斜面を北流,いったん長津江と合流したのち,新乫坡鎮付近で主流に合する。1929年,標高1200mの地点ダムが建設され,面積約24km2の広大な赴戦湖が生成した。湖水は27.5kmのトンネルを通じて咸鏡山脈南麓の城川江に落とされ,赴戦江発電所の20万kWの発電機を動かすことになった。この朝鮮最初の大型発電所の完成によって,興南に窒素肥料工場の操業が開始され(野口遵(したがう)の日本窒素肥料株式会社が進出したもの),北朝鮮の重化学工業の嚆矢(こうし)となった。流路変更によって約700mの落差が得られ,その後同方式の発電所があいついで建設された。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「赴戦江」の意味・わかりやすい解説

赴戦江【ふせんこう】

朝鮮半島北部の赴戦嶺に発源北東流して蓋馬(かいま)高原を経て,鴨緑江の支流長津江に注ぐ川。全長約100km。上流に1929年建設のダムによる赴戦湖と流域変更式発電所(最大出力20万kW)があり,興南(咸興)の重化学工業化に寄与した。
→関連項目鴨緑江咸鏡南道赴戦嶺山脈両江道

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「赴戦江」の意味・わかりやすい解説

赴戦江
ふせんこう / プチョンカン

朝鮮半島北東部の蓋馬(かいま)高原の西部を南から北流して長津(ちょうしん)江に注ぐ川。全長121キロメートル、流域面積1838平方キロメートル。妙香山脈の高大山(1768メートル)より発し、赴戦嶺(れい)の山麓(さんろく)に沿いながら北東流し、沖積層の高原盆地を出て方向を北にとり、人造湖の赴戦湖へ注いでいる。湖より下流は峡谷を経て北流し、大通気江をあわせ慈江道狼林(ろうりん)郡で長津江に合流している。

[魚 塘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android