起る(読み)オコル

デジタル大辞泉 「起る」の意味・読み・例文・類語

おこ・る【起(こ)る】

[動ラ五(四)]
今までなかったものが新たに生じる。おきる。「静電気が―・る」「さざ波が―・る」

自然が働きや動きを示す。おきる。「地震が―・る」「洪水が―・る」
㋑平常と異なる状態や、好ましくない事態が生じる。おきる。「事件が―・る」「戦争が―・る」
ある感情・欲望が生じる。また、からだの働きがある状態を示す。おきる。「疑いが―・る」「仏ごころが―・る」「発作が―・る」
大ぜいの人が出てくる。大挙する。
大衆だいしゅ―・って西坂本より皆おっかへす」〈平家・一〉
[類語](1)(3起きる生ずる生まれるきざ発する生起する発生する湧く出来る/(2㋑)起きる持ち上がる出来しゅったいする勃発ぼっぱつする突発する偶発する始まる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「起る」の意味・読み・例文・類語

おこ・る【起・興・発・熾】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. [ 一 ] 今までなかったところに、ある物事や状態が生じる。
    1. 新しく物事が始まる。物事が新たにできる。
      1. [初出の実例]「是れに由て始めて大八洲国(をほやしまのくに)の号(な)(ヲコレ)り」(出典:日本書紀(720)神代上(寛文版訓))
    2. 大勢の人が集団をなして立ち上がる。大挙する。
      1. [初出の実例]「河の辺に伏せ隠せし兵(いくさびと)彼廂(そなた)此廂(こなた)、一時共(もろとも)に興(おこ)りて、矢刺して流しき」(出典:古事記(712)中)
    3. 穏やかな状態のところに、それをさわがせるような物事や状態が生じる。
      1. [初出の実例]「万(よろづ)の物の妖(わざはひ)悉に発(おこり)き」(出典:古事記(712)上)
      2. 「おほきなるつじ風おこりて」(出典:方丈記(1212))
    4. ある感情、欲望などが、心に生じる。
      1. [初出の実例]「をのがどちの心よりおこれるけさうにもあらず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜上)
      2. 「一緒にお暮らしなさる内には、其内には又夫婦間の愛情と云ふものが発(ヲコ)りますから」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉夏)
  3. [ 二 ] 高く盛りあがる。隆起する。「雲がわきおこる」
    1. [初出の実例]「山の峯は両つに起(オコリ)て、巖四むに絶えたり」(出典:大唐西域記巻十二平安中期点(950頃))
  4. [ 三 ] 勢いがさかんになる。
    1. ふるわない物事がさかんになる。働きが強まる。ふるいたつ。
      1. [初出の実例]「腹の内の薬作(オコリ)て、下処を欲求す」(出典:大智度論平安初期点(850頃か)一六)
    2. ( 熾 ) 火気がさかんになる。また、炭に火が移る。
      1. [初出の実例]「さゆる夜の枕にきえぬうづみ火のおこすにおこる世をいかにせむ」(出典:広本拾玉集(1346)二)

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