兆す(読み)キザス

デジタル大辞泉 「兆す」の意味・読み・例文・類語

き‐ざ・す【兆す/×萌す】

[動サ五(四)]
草木が芽を出す。芽生える。「新芽が―・す」
物事が起ころうとしている気配がある。心の中にある感情や考えなどが生まれる。「日射しに秋の色が―・す」「淡い恋心が―・す」
[補説]とがって芽生えるものが現れ出る意の「差す」からとも、また「気差す」の意からともいう。
[類語](1芽生える芽吹く芽ぐむ萌える萌え出る萌え立つ角ぐむ芽差す・芽を吹く・芽が出る芽を出す芽出し芽立ち芽生え発芽出芽発根萌芽実生みしょう/(2催す芽生える萌芽生まれる起こる起きる生ずる発する生起する発生する湧く出来る

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精選版 日本国語大辞典 「兆す」の意味・読み・例文・類語

き‐ざ・す【兆・萌】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 サ行五(四) 〙 ( 「気差す」の意 )
    1. 草木が芽を出す。芽ぐむ。もえ出る。
      1. [初出の実例]「かたをかの雪間(ゆきま)にきさす若草のはつかに見えし人ぞ恋しき」(出典曾丹集(11C初か))
      2. 「木の葉のおつるも、〈略〉下よりきざしつはるに堪へずして落つるなり」(出典:徒然草(1331頃)一五五)
    2. 物事が起ころうとする。また、心の中に、ある種の気持、考えなどが生ずる。
      1. [初出の実例]「人がらもいとよき人也とおぼしきざして」(出典:落窪物語(10C後)四)
      2. 「大乱逆きざしてけるにや」(出典:愚管抄(1220)二)
      3. 「曩にはその心に初恋の充牣(きざ)したるため、些の余地だになかりき」(出典:即興詩人(1901)〈森鴎外訳〉考古学士の家)
    3. 特に、色情が起こる。
      1. [初出の実例]「女猶きざす也」(出典:浮世草子・好色訓蒙図彙(1686)下)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 サ行五(四) 〙 病気などある状態を起こし始める。また、ある考え、気持などを持ち始める。ある考えをはぐくみはじめる。
    1. [初出の実例]「事をばきざして四十にてうせおはします事ぞおぼつかなけれど」(出典:愚管抄(1220)七)
    2. 「邪淫の心を起せるもの若くは悪意を萌(キザ)せる者は」(出典:小説神髄(1885‐86)〈坪内逍遙〉上)

ちょう‐・すテウ‥【兆】

  1. 〘 他動詞 サ行変 〙ちょうする(兆)

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