出来(読み)シュッタイ

デジタル大辞泉の解説

しゅっ‐たい【出来】

[名](スル)《「しゅつらい」の音変化》
事件が起こること。「珍事が出来する」
物事ができあがること。「近日中に出来」「重版出来

しゅつ‐らい【出来】

出てくること。起こること。現れること。→しゅったい
「天地―セシヨリコノカタ」〈ロドリゲス日本大文典

で‐き【出来】

ものができること。できあがること。また、できあがったもの。「南部出来の鉄瓶」
できあがった状態。できぐあい。できばえ。「試験の出来が悪い」「急いだわりにはりっぱな出来だ」「上出来
みのり。収穫。「今年は米の出来がいい」
よくできていること。「出来不出来」
「弥次さん、ありゃあおめえ一生の―だぜ」〈滑・膝栗毛・四〉
出来合い」の略。
「―で買って来た下駄箱には」〈花袋・生〉
出来魚(できうお)」の略。「出来ハゼ」
取引所で、売買が成立すること。
(接頭語的に用いて)にわかにできあがること、急に成り上がることなどの意を表す。「出来心」「出来分限(ぶげん)」「出来あきんど」

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大辞林 第三版の解説

しゅったい【出来】

( 名 ) スル
〔「しゅつらい」の転〕
物事が起こること。 「大事件が-する」 「要用の-したるにや、突然手紙を寄せて/福翁百話 諭吉
物事ができあがること。完成。 → しゅつらい(出来)

しゅつらい【出来】

( 名 ) スル
〔「いできたる」の漢字表記「出来」を音読みした語。「しゅったい」とも〕
事件などが起こること。 「大事件が-する」
物事ができ上がること。成就。 「語彙と称する日本字引編集あるよし追々-すべしと/新聞雑誌 6

でき【出来】

できること。できあがること。 「今-の品」 「 -高」
できあがったもののようす。作られ方。でき具合。できばえ。 「昔の物は-が違う」 「いつもより-が悪い」 「上-」
農作物の実り具合。収穫。 「米は七分の-だ」
釣りで、魚が孵化ふかして一年以内であること。当歳。 「 -ハゼ」
よくできていること。 「是も-でござる/狂言・角水聟」
接頭語的に用いて、一時的に生じたこと、急になり上がることの意を表す。 「 -心」 「 -分限」

でく【出来】

( 動カ変 )
〔「いでく(出来)」の転〕
出て来る。生ずる。 「父がなうてはどこから-・こうぞ/史記抄 6
仕上がる。作られる。できる。 「明日の今比-・くるやうに頼みまらせう/狂言・仏師」 〔中世以降、打ち消しに「できぬ」の形が生じたため、カ変か上二段か判断のつかないものが多い〕

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精選版 日本国語大辞典の解説

いで‐きた・る【出来】

〘自ラ四〙 表だったところに現われる。出現する。発生する。
※観智院本三宝絵(984)中「行者、母にかはらむとて心つからいてきたりてとらへられぬ」

いで‐・く【出来】

〘自カ変〙 表だったところに現われる。人目にたつ状態になる。
① (内にあるもの、隠れていたものなどが進み動いて)表に現われる。出現する。出てくる。
万葉(8C後)二〇・四三五八「大君のみことかしこみ伊弖久礼(イデクレ)ば吾(わ)ぬとりつきて言ひし児なはも」
※枕(10C終)一二七「げにいとあはれなりなど聞きながら、涙のつと出でこぬ」
② (なかったものが)新しく生じる。できる。
(イ) (ある状態や事件などが)発生する。起こる。
※万葉(8C後)一二・二九九五「逢ふよしの出来(いでくる)までは畳薦(たたみこも)重ね編む数夢(いめ)にし見えむ」
※大鏡(12C前)六「将門が乱いできて」
(ロ) この世に生まれる。
※源氏(1001‐14頃)浮舟「若君のいとうつくしうおよずけ給ふままに、ほかにはかかる人もいでくまじきにや」
(ハ) こしらえられる。作られる。しあがる。産出する。
※伊勢物語(10C前)二三「河内の国、高安の郡に、いきかよふ所いできにけり」
③ うまくある時機がめぐって来る。
※土左(935頃)承平五年一月二一日「風も吹かず、よき日いできて漕ぎゆく」
④ よりよい状態が現われる。
※源平盛衰記(14C前)三四「生唼(いけづき)とは黒栗毛の馬、〈略〉当時五歳、猶いてくべき馬也」
[語誌](1)上代のイデクは、元の動詞イヅ(出)とク(来)の自立性がかなり高かったためか、ほとんどの例が①の意味で用いられており、②の用法は特異なものであった。
(2)中古には②③の用法が次第に多くなる。中世には②の用法が優勢になるが、後期にはイヅルのヅル・デルへの変化に伴って、デクルという形が一般化する。

しゅっ‐たい【出来】

〘名〙 (「しゅつらい(出来)」の変化した語)
① 出て来ること。あらわれ出てくること。
② 事件が起こること。また、事をひきおこすこと。
※謡曲・親任(1541頃)「さても不思議なることの出来(しゅったい)してあるよな」
③ 物事ができあがること。完成すること。成就。完成。「近日出来」
※浄瑠璃・百合稚高麗軍記(1742)一「高麗国分見の絵図、出来(シュッタイ)したるや」

しゅつ‐らい【出来】

〘名〙
① 外に現われていなかったものが出て来ること。しゅったい。
※玉葉‐仁安二年(1167)七月二二日「余所労出来、持病也」
※太平記(14C後)一「訴訟の人出来の時、若下情上に達せざる事もやあらんとて」
② 物事が起こること。事件が起こること。しゅったい。
※兵範記‐保元三年(1158)正月五日「東三条御蔵町兵士去夜頓死、仍卅日穢出来」
③ でき上がること。完成すること。成就。完成。しゅったい。
※後二条師通記‐寛治七年(1093)一〇月一〇日「金峯山訓者可別書也、書直可献也。出来之後、召知綱、可清書
※ロドリゲス日本大文典(1604‐08)「テンチ xutrai(シュツライ) セシヨリ コノカタ」

でか・す【出来】

〘他サ五(四)〙
① できるようにする。また、作り出す。こしらえる。でこかす。でからかす。
※玉塵抄(1563)四二「わらびをはやうてかさうとてやくぞ」
浮世草子世間娘容気(1717)四「はやう孫をでかして祖母さまといはしてたも」
② よくやる。うまくやる。立派にやる。また、功を奏す。しあげる。しとげる。成功する。
※虎明本狂言・ぬらぬら(室町末‐近世初)「いつれもしうくをでかひたな」
※評判記・難波物語(1655)「程に過たるはたらき、其身は、でかすとおもふらめど」
洒落本・通気粋語伝(1789)一「『丁字屋の下ざしきの天井といふ莨入だ。』『ハハでかすでかす』」
[補注]「史記抄‐一二」には「反間は反して間(へたてて)ひまをてかするそ」とあり、「でかする」という形も見られる。

で‐き【出来】

〘名〙 (動詞「できる」の連用形の名詞化)
① 物が出てくること。しゅつらい。
② 物ができあがること。仕上がること。また、できたもの。仕上がり。しゅったい。〔和英語林集成(初版)(1867)〕
※雪国(1935‐47)〈川端康成〉「宿の主人が特に出してくれた京出来の古い鉄瓶」
③ できた状態。できぐあい。できばえ。成績。
※虎明本狂言・金津地蔵(室町末‐近世初)「がくやより、地蔵の出来にして、ぶたいにてこしらへぬやうに、したらばよくあるべし」
※他人の顔(1964)〈安部公房〉灰色のノート「出来の悪い入歯というのは」
④ よくできていること。好成績。傑作。成功。
※禅鳳雑談(1513頃)上「相生・八嶋・野の宮・空八形・とうる・かしはざき・鵼、是にて雨ふり候。以上七番也。近年の出き能」
滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)四「彌次さん、ありゃアおめへ一生の出来だぜ」
⑤ みのり。収穫。
※浮世草子・日本永代蔵(1688)二「当年の紅の出来は、青苧は何程と入事ばかりを尋ね」
⑥ なりたち。おいたち。
⑦ 「できあい(出来合)」の略。
※随筆・異本洞房語園(1720)下「其詩のこころは何と申事にやと問ければさすが出来のうそもつかれず」
⑧ 「できうお(出来魚)」の略。
⑨ 取引市場で、売買取引きをすること。
⑩ (接頭語的に用いて) にわかにできあがること。急になり上がること。「出来心」「出来商人」「出来分限」など。

で‐・きる【出来】

〘自カ上一〙 (カ変動詞「でくる(出来)」の上一段化したもの)
[一] 出てくる。現われる。
※百丈清規抄(1462)二「竺法蘭のこちへできらるるに逢てつれてきたそ」
※浮世草子・日本永代蔵(1688)一「泉州に唐かね屋とて金銀に有徳なる人出来(デキ)ぬ」
※俚言集覧(増補)(1899)「月が出来た
[二] 新しく存在するようになる。
① 物事が生じる。発生する。生まれる。起こる。
※平家(13C前)九「海河の、俄にできても候はばこそ」
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二「コレ、見な。こんなに痣(あざ)が出来(デキ)たア」
※青べか物語(1960)〈山本周五郎〉留さんと女「きまって女ができるんだから」
② 作りあげられる。設けられる。しあがる。完成する。
※歌舞伎・幼稚子敵討(1753)口明「是程は出来ましたれど、是程は暫く待て下されいなんどと、言われませうか」
※竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生の人生観「吾々人間と云ふものは、よく出来たもので」
③ みのる。収穫がある。生産される。とれる。
※俳諧・新続犬筑波集(1660)一「はるの日に出来ぬる瓜や進むらん〈似空〉」
④ 手にはいる。得る。
※細君(1889)〈坪内逍遙〉三「四十円出来なければ、三十円でも為方がないが」
⑤ (特に、主語を明示せずに用いる俗な言い方) 妊娠する。
※四十歳の男(1964)〈遠藤周作〉「あたし、できたらしいの。どうするの」
[三] 能力や可能性を持つ。
① 物事をよくする。学問や技芸などにたくみである。その方面の能力がある。長じている。
※滑稽本・浮世床(1813‐23)初「一寸(ちょっと)出来(デキ)ると思の外、此柏屋の約束も翌明々日(あすあさって)と云延たるが」
② 人柄などが円満ですぐれている。精神的修養をつんでいる。苦労している。→できた(二)①。
※魔風恋風(1903)〈小杉天外〉前「貴女の様にお優(デキ)なさる方が、些細(いささか)なお金で御心配なさいますのが」
③ することが可能である。することが許される。動作を表わす語を受けて、その動作をすることが可能である意を表わす。
※浄瑠璃・五十年忌歌念仏(1707)中「わか衆の前がみ女の脇詰男がしらいでたつ物か、できぬ仕方と言ひければなふ、そこらを忘れるおなつでなし」
※歌舞伎・お染久松色読販(1813)序幕「年が明けざアその相談はどうも出来ますまいて」
[四] 男と女が愛情をかわす。男女がなかよくなる。→できた(二)②。
※雑俳・柳多留‐七(1772)「出来そうになると藪入りかへるなり」
※老年(1914)〈芥川龍之介〉「あの女と出来たのもあの頃ですぜ」
[五] 賭博が開帳される。
※洒落本・卯地臭意(1783)「今日内会のめくりができると言ふから、ソレ此春こしらへたもへぎはかたを、たちまち二本通用とくらはして行た所が」
[語誌](1)「デクル」から、二段活用の一段化に影響されて成立した。近世以降デクルよりも優勢となる。→「でくる(出来)」の語誌。
(2)デキルから変化したデケルという形もあり、近世前期にはデキルとデケルとが拮抗していたが、後期に入るとデケルは方言的なものと意識されていたらしい。
(3)連用形はカ変「でくる」と区別ができないので、便宜上この項におさめた。

で‐・く【出来】

〘自カ変〙 ⇒でくる(出来)

で‐・くる【出来】

〘自カ変〙 で・く 〘自カ変〙 (「いでく」の変化したもの)
① 出てくる。現われ出る。出現する。また、新たに生ずる。生まれる。
※申楽談儀(1430)声の事「『やうやう』と云声を言ふ者有。乗せたる心より出づ。能下らんとて、かかる心得でくる也」
※史記抄(1477)七「父がなうてはどこからでこうぞ」 〔日葡辞書(1603‐04)〕
② 物事がおこる。新しい事態が発生する。ある状態になる。出来(しゅったい)する。
※史記抄(1477)一五「兵がつかへて久ければ思もよらず変がてくるぞ」
③ 仕あがる。作られる。生産される。
※史記抄(1477)一〇「もとの米が尽れば今年の米がでくやうに」
④ することが可能である。
※二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉上「二月か三月も慣るれば、誰にでも出来(デク)る事だ」
[語誌](1)中古までのイデクが、具体的に物や人が(ある所から)出て来ることを多く示すのと異なり、デクルは主に物事が発生・成立するという意で用いられた。このような意味変化により、デクルのクルは「来」であるという語源意識が薄れ、上一段活用形デキルが生じたものとみられる。
(2)連用形「でき」は、上一段動詞「できる」の連用形と同じ形で区別しがたいので便宜上「できる」の項におさめた。

で‐け【出来】

〘名〙 =でき(出来)
狂言記仏師(1660)「まづでけを拝まっしゃれい」

で・ける【出来】

〘自カ下一〙 =できる(出来)
※狂言記・仏師(1660)「いつごろでけませう。されば十年ばかりせずばでけますまひ」

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