精選版 日本国語大辞典 「車返」の意味・読み・例文・類語
くるま‐がえし‥がへし【車返】
- 〘 名詞 〙
- ① 山などで道が険しく、そこから先の通行が不能であるため、車を引きもどさなければならない所。また、そのように道の険阻なところの地名。
- [初出の実例]「三嶋の拝殿に通夜申、あくれば、三嶋を出て、くるま返しに立やすらひ」(出典:曾我物語(南北朝頃)一二)
- ② 戦陣や武術で戦法や技をいう。
- (イ) =くるまがかり(車懸)①
- [初出の実例]「上杉家に車返と云ふ行(てだて)は退く様にもてなし先よりくるりと引廻すなり」(出典:随筆・安斎随筆(1783頃)二八)
- (ロ) 長刀を使っての剣術の一つ。
- [初出の実例]「長刀つかう兵法に、なみのこしぎり・稲妻ぎり・車かへし・やる刀」(出典:幸若・信太(室町末‐近世初))
- (ハ) 柔術の起倒流の技の一つ。〔起倒流伝書‐人(1800)〕
- (イ) =くるまがかり(車懸)①
- ③ サトザクラの園芸品種。花は淡紅色で、径四センチメートルくらい。同じ枝に重弁から単弁のものまでが交じる。