農業委員会法に基づき市町村に設置される行政組織の一つ。農地の売買や農地を農業以外の目的で使用する農地転用の許認可を主な業務とする。農業者による選挙で選ばれた選挙委員と、市町村長が選任する選任委員から構成される。都道府県レベルでは、市町村の農業委員会会長や農業団体の代表、有識者などで構成される都道府県農業会議が置かれており、農地転用の許可業務のほか、研修活動などを行っている。農業会議の上部団体として「全国農業会議所」がある。
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〈農業委員会等に関する法律〉(1951公布)および〈地方自治法〉(1947公布)によって,市町村に設置が義務づけられている行政委員会である。第2次大戦後,農地改革の遂行や農業の復興にあたって農政の民主化が叫ばれた時代に,農民代表の参加を得て農政をすすめる趣旨で,市町村に農地委員会(1946),食糧調整委員会(1946。後に農業調整委員会),農業改良委員会(1949)がそれぞれ設置された。その後農地改革が終わり,農業復興も漸次軌道に乗って三つの委員会が分立する意味が薄れてきたために1951年,〈農業委員会法〉(1954年〈農業委員会等に関する法律〉と改称)が制定され,3者の機能が統合されて農業委員会が設置され,今日に引き継がれている。その目的は,〈農業生産力の発展および農業経営の合理化を図り,農民の地位の向上に寄与するため〉(同法1条)であり,いくつかの所掌業務をもっている。大別すれば,(1)農地移動に関する許認可行政,(2)農地の利用や農業振興の推進や指導,(3)農業者年金などの日常業務,(4)農政上の諸活動,などである。委員の大部分は農業者による選挙を通じて選ばれること(ほかに市町村長の選任による委員若干名がある),農地の売買などに関して法律に基づく許認可・執行権限をもっていることが特徴である。農業委員会の府県レベルの組織として都道府県農業会議があり,また全国レベルの組織として全国農業会議所がある。
執筆者:臼井 晋
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主として農地に関する行政に農民の意見を反映させるために、「農業委員会等に関する法律」(1951)および「地方自治法」(1947)に基づいて市町村に設置されている行政委員会。上部機構として都道府県に都道府県農業会議、さらに全国農業会議所が置かれ、農業協同組合と似た系統三段階組織になっている。第二次世界大戦後、農地改革の実施に農民代表を参加させる目的で農地委員会が設置され、同じように食糧供出のための農業調整委員会、農業改良普及事業のための農業改良委員会が設置されたが、この三つの行政委員会がいちおうの任務を終了した時点で統合され、再出発したのが農業委員会である。農業委員会は、「農業生産力の発展及び農業経営の合理化を図り、農民の地位の向上に寄与するため」(「農業委員会等に関する法律」1条)、〔1〕農地移動に関する許認可、〔2〕農地利用や農業振興についての指導・建議、〔3〕農業者年金や後継者対策などの業務、〔4〕農政活動、などを行っている。これらはいずれも農業生産の根幹をなす「土地と人」にかかわる重要な業務であり、農業委員会が、自治体や農業協同組合など他の農業団体と協力して、地域農業の発展に貢献することが期待されている。
農業委員会はまた、教育委員会や労働委員会など他の行政委員会に比べると、委員の公選制を残している唯一のものであり、わが国の行政委員会制度のなかでも特異な存在である。
[太田原高昭]
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