逆罪(読み)ぎゃくざい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

逆罪
ぎゃくざい

江戸時代,従者の主人に対する,あるいは子の親に対する殺傷罪の総称。狭義には主殺親殺のみをさす。『公事方御定書』によると,主殺は2日晒,1日引廻鋸挽のうえ磔,親殺は引廻のうえ磔で,前者は幕府刑罰体系中最も重く,かつこの場合にのみ科せられた刑であり,後者はそれに続く重刑である。また,主人を傷害した者は晒のうえ磔,親を傷害ないし打擲した者は磔であり,主人,親に対して切りかかり,打ちかかる行為がすでに死罪とされていた。このことは縦の秩序維持が武家社会存立の基礎的要件であったことの必然的結果であり,これに違反する行為を逆罪と呼んで,出入扱いを禁じるとともに,旧悪 (公訴の時効に相当) および赦の適用外とし,また人相書を発して犯人を捜索するなど特別に取扱った理由もここにある。

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世界大百科事典 第2版の解説

ぎゃくざい【逆罪】

江戸時代の犯罪類型。主人・親に対し,従者・子が反抗して殺傷におよんだものをいう。きわめて重く罰せられ,《公事方御定書》は,主殺(しゆうごろし)には二日晒(さらし),一日引廻,鋸挽(のこぎりびき)のうえ磔(はりつけ)という幕府刑罰中の最重刑を配し,親殺には引廻のうえ磔の刑を科した。逆罪には旧悪免除の適用はなく,(しや)も行われない。一方で縁坐の制を最後まで保持したのが,主殺・親殺であった。主従・親子の関係は,幕藩社会における基本秩序として,刑法上も厚く保護されたのである。

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大辞林 第三版の解説

ぎゃくざい【逆罪】

〘仏〙 理にさからう大罪。無間むけん地獄に落ちる大悪罪。五逆罪・七逆罪など。
江戸時代、主人や親に対して殺傷に及ぶ罪。極悪の犯罪とされた。

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精選版 日本国語大辞典の解説

ぎゃく‐ざい【逆罪】

〘名〙
仏語。理にそむく極重の悪罪。無間地獄(むけんじごく)に落ちる罪だから、無間業(むけんごう)という。五逆罪、七逆罪などがある。中世、特に主人や親をあなどる行為のこと。不忠不孝の罪。
※今昔(1120頃か)五「何ぞ今父母を殺して逆罪を造らむ」
江戸時代主殺し、親殺しの総称。儒教道徳を背景とした当時の刑法では、これは極悪の犯罪とされ、鋸挽(のこぎりびき)、磔(はりつけ)などの刑が科せられただけではなく、旧悪免除の規定は適用されず、犯人は人相書をもってたずねられ、吟味中死去した場合は、死骸を塩詰めとされた。〔財政経済史料‐八・官制・地方職制雑・元祿一〇年(1697)六月〕

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