中国、吉林(きつりん)省南部の地級市。管轄下に同名の県もある。渾江(こんこう)の上流域、梅集線(梅河口(ばいかこう)―集安(しゅうあん))の沿線に位置する。2市轄区、通化など3県を管轄し、梅河口、集安の2県級市の管轄代行を行う(2016年時点)。常住人口232万5242(2010)。老嶺(ろうれい)、七道溝(しちどうこう)、大梨子(だいりし)などの鉄山群、鉄廠(てっしょう)、八道江(はちどうこう)などの炭鉱群、柳河の石灰岩、礦洞子(こうどうし)の銀、鉛、亜鉛などをもとに「満州国」時代から急速に工業化し、鉄鋼、電気機械、冶金、製薬、紡績、製紙、ぶどう酒工業などが盛ん。市内渾江の東方に抗日戦争の英雄楊靖宇(ようせいう)(1905―1940)の陵園がある。
通化県は清(しん)末の入植地で、大豆、トウモロコシ、米、アワ、コウリャンなどを産する。
[浅井辰郎・編集部 2017年7月19日]
中国東北部の吉林省南東部の省直轄市。人口46万(2000)。渾江上流部にあり,梅集鉄道(梅河口~集安)に沿う。また長白山地の森林地帯に鴨大,渾湾の2支線を分岐している。1942年通化県から分離,市制施行。通化県は清代岫巌州の東辺の地に属し,光緒年間(1875-1908)通化県を分離して設置。県都は頭道溝に置かれ,奉天興京府に属した。民国になっても奉天省(1929年遼寧省と改名)東辺道に属し,のち安東省に属していた。解放後吉林省の管轄となる。長白山地の林産物と大豆の集散地であったが,周辺に地下資源が多く,日本は通化をその開発拠点にしようとした。しかし東辺道は抗日聯軍の活動が盛んで,十分そのねらいを果たせなかった。解放後58年より製鉄所が建設され,機械,化学,製材,紡織,製紙工場が立地,またヤマブドウを原料とするブドウ酒が有名。市内に抗日聯軍の指揮者で壮烈な戦死をとげた楊靖宇を記念する靖宇陵園がある。
執筆者:河野 通博
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