通商航海条約(読み)つうしょうこうかいじょうやく(英語表記)treaty of commerce and navigation

日本大百科全書(ニッポニカ)「通商航海条約」の解説

通商航海条約
つうしょうこうかいじょうやく
treaty of commerce and navigation

国家間の経済関係を規律する基本的な条約。通常この条約は、相手国民の待遇(入国居住の自由、生命・身体・財産の保護、経済活動の自由など)、相手国商品・商船の取扱い、経済的紛争の解決手続などを規定し、国家間の経済活動の安定に役だっている。取引の安定を求める資本主義的生産関係がヨーロッパ諸国に成立してくるとともに、17世紀には国際取引の安定のために通商関係を規律する規定を含む条約が多数登場するが、独立した通商航海条約が締結されるようになるのは、18世紀以後である。19世紀にはヨーロッパ諸国家間に、関税引下げと関税に関する最恵国待遇および人と商船の取扱いに関する内国民待遇を規定した通商航海条約が網の目のように張り巡らされ、自由貿易体制が成立した。他方でヨーロッパ諸国は、資本主義的諸制度の確立していないアジア諸国には、協定関税により関税自主権を否定し、領事裁判制度を規定した不平等条約を締結した。現在では、国際経済関係を多数国間で調整する必要から、経済関係を規律する多数国間条約が増加し、通商航海条約の一定の機能はそれらに譲られたが、経済関係を規律する基本条約としての性格には変わりはなく、国際経済活動の多様化と国家の経済活動への介入の拡大に伴い、その規定対象も多岐にわたっている。

[佐分晴夫]

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百科事典マイペディア「通商航海条約」の解説

通商航海条約【つうしょうこうかいじょうやく】

通商関係をもつ国相互の経済関係を円滑にするために結ばれる条約。当事国間の関税率,通商・航海の自由の問題をはじめ,出入国,居住,営業,財産の取得・処分,法律上の権利能力など関係諸問題につき取り決める。相互に同等の特典を認め合う互恵主義を原理とし,最恵国待遇と相手国国民に内国民待遇を与えるのが普通。

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精選版 日本国語大辞典「通商航海条約」の解説

つうしょうこうかい‐じょうやく ツウシャウカウカイデウヤク【通商航海条約】

〘名〙 締約国が、相互の通商活動を盛んにするため、通商、交通に関して必要な事項を定めた条約。相手国人の出入国、居住、事業活動、船舶などの交通、財産の取得、輸出入品の取扱い、裁判権、関税の賦課などについて規定する。通商条約。〔大不列顛国通商航海条約(明治二七年)(1894)〕

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デジタル大辞泉「通商航海条約」の解説

つうしょうこうかい‐じょうやく〔ツウシヤウカウカイデウヤク〕【通商航海条約】

国家間の通商活動を円滑にするため、通商・航海などに関して結ばれる条約。相手国民の入国・居住、領事の交換などのほか最恵国待遇内国民待遇について規定する。通商条約。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「通商航海条約」の解説

通商航海条約
つうしょうこうかいじょうやく

通商条約」のページをご覧ください。

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世界大百科事典内の通商航海条約の言及

【通商条約】より

…通商関係をもつ国と国との経済関係を円滑にするために結ばれる国際条約のこと。正式には通商航海条約treaty of commerce and navigationと呼ばれる。各国は貿易の働きによって国民経済を強める必要から,相手国と通商条約を結んで相互に貿易を妨害しないように協定する。…

※「通商航海条約」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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