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通貨供給方式 つうかきょうきゅうほうしき

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

通貨供給方式
つうかきょうきゅうほうしき

1国の通貨供給の方法。日本では,日本銀行経済成長に伴う現金通貨をいかなる方法で供給するかという問題。これには,(1) 日本銀行による外貨の買入れ,(2) 財政の支払い超過 (赤字財政) ,(3) 日本銀行の対市中貸出し,(4) 日本銀行による債券買いオペレーションの4つの方法がある。

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出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

通貨供給方式
つうかきょうきゅうほうしき

一国の通貨総量が、どのような要因に基づき、どのようなルートで供給されるかということ。通貨総量は現金通貨と預金通貨の供給から成り立っている。現金通貨は銀行券と補助通貨であり、中央銀行から供給され、預金通貨は当座預金など要求払預金であり、市中銀行信用創造によって供給される。しかし、市中銀行の信用創造は、預金の支払準備金として保有される現金通貨の量によって規制されるから、究極的には、一国の通貨供給は現金通貨の供給方式を根幹としている。
 現金通貨の供給ルートは、中央銀行による、(1)金・外貨の買上げ、(2)政府に対する信用供与、(3)市中銀行に対する信用供給、(4)公債を中心とする有価証券の買入れ、すなわち公開市場操作による買い操作、(5)支払準備率操作による預金支払準備率の引下げ、の五つをあげることができる。
(1)金・外貨の買上げ 金・外貨の買上げによる通貨供給ルートは、中央銀行の金保有量と通貨発行量とを金兌換(だかん)による自動的調節作用によって結び付け、国際均衡の維持を図ろうとする通貨主義の立場からは基本的なものである。現在の管理通貨制度のもとでは、金・外貨は国内では流通しない。日本においては、日本銀行が直接に金・外貨を買い上げるのではなく、国際収支が受取り超過の場合に外国為替(かわせ)資金特別会計がこれを買い入れ、その結果、同特別会計が資金不足になった場合に発行される外国為替資金証券を日本銀行が買い入れることで通貨が供給される。
(2)政府に対する信用供与 これは、政府の財政収支が払い超の場合に、中央銀行が政府に貸付を行ったり、国債や政府短期証券を引き受けて通貨を供給するルートである。第二次世界大戦中には、軍事費調達のために各国政府とも中央銀行引受けによって国債を発行し、財政支出によって大量の通貨が供給された。戦後には、中央銀行の直接引受けによる財政資金の調達はほとんどの国でみられない。日本でも、健全財政のたてまえから、償還期間1年以上の長期国債の日本銀行引受発行と政府の日本銀行長期借入れを財政法によって禁止している。政府短期証券は、財務省証券(旧大蔵省証券)、食糧証券など国庫の一時的な資金不足を補うために発行されるもので、日本銀行引受けによって発行され、その結果通貨が供給される。完全雇用、経済成長、不況対策のためには、有効需要補填(ほてん)のための赤字財政も必要であり、財政を通ずる通貨供給がなされるべきだとするのがケインズ政策である。
(3)市中銀行に対する信用供給 これは、中央銀行が市中銀行その他の民間金融機関の資金不足を補うために手形再割引や手形貸付によって通貨を供給するルートである。国内均衡を重視する銀行主義の立場では、通貨総量は財貨の取引量から受動的に供給されるべきであり、この供給ルートがその原理に即した供給方式である。
(4)公開市場買い操作 政府の赤字財政などで公債の発行機会が増えると、金融機関や法人、個人にそれが累積保有される。この公債を中央銀行が買い入れることによって通貨が供給されるルートである。第二次世界大戦後のイギリス、アメリカなどで、大量の戦時公債を背景にこの通貨供給ルートが活用された。
(5)預金支払準備率の引下げ 市中銀行の預金に対する支払準備率を引き下げることによって、支払準備金の不足を補い、預金通貨の供給を拡張させるものである。
 これらの供給方式のいずれが重視されるかは、各国の歴史的背景や金融構造から異なっている。金融革新が進むにつれて金融資産が多様化しており、預金通貨の範囲も拡大される傾向にある。[安田原三]
『小泉明編『金融論講義』(1968・青林書院新社) ▽日本銀行金融研究所編『わが国の金融制度』新版(1986・日本信用調査株式会社出版部) ▽安田原三・伊藤孝司編『変革期の協同組織金融機関』(1998・地域産業研究所)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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