過多月経、過少月経(読み)かたげっけい、かしょうげっけい(その他表記)Hypermenorrhea, Hypomenorrhea

六訂版 家庭医学大全科 「過多月経、過少月経」の解説

過多月経、過少月経
かたげっけい、かしょうげっけい
Hypermenorrhea, Hypomenorrhea
(女性の病気と妊娠・出産)

どんな病気か

 月経血量が異常に多い状態を過多月経、異常に少ない状態を過少月経といいますが、量についての明確な客観的基準はありません。

原因は何か

●過多月経

 過多月経の原因は大別して、異常な病態病気)があって過多月経となっている、いわゆる器質性過多月経と、通常の身体調節機構が亢進(こうしん)または失調して過多月経となる、いわゆる機能性過多月経があります。

 器質性の原因として最も多くみられるものは、子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)です。そのほか子宮内膜増殖症(ないまくぞうしょくしょう)子宮内膜ポリープ、子宮内膜炎、子宮内異物(避妊用リングなど)、子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)があります。

 子宮筋腫は、部位によって漿膜下(しょうまくか)筋腫筋層内(きんそうない)筋腫、粘膜下(ねんまくか)筋腫に分類されます。粘膜下筋腫が最も過多月経を起こしやすく、漿膜下筋腫の場合は、筋腫の大きさによらず過多月経となる頻度が高くはありません。

 子宮内膜増殖症は、子宮内膜が過剰に増殖して肥厚したもので、排卵障害やそれによる月経周期の不順を伴うことが多く、また不正出血を伴うことがあるのが特徴です。増殖した内膜の細胞に異型(いけい)がみられる場合は異型増殖症で、子宮体がんの前がん病変のことがあります。

 子宮内膜ポリープは子宮粘膜のポリープ状の異常増殖で、良性のものが大半です。子宮内膜炎は子宮筋層・内膜の炎症です。子宮腺筋症子宮内膜症と類似した病気なので、子宮内膜症の項を参照してください。

 機能性の原因は、性ホルモンの分泌過剰などが考えられます。

●過少月経

 過少月経の原因にも、器質性と機能性によるものがあります。

 器質性の原因としては、結核(けっかく)などの炎症の後遺症や、子宮内の癒着(ゆちゃく)によるもの、子宮発育不全によるものがあります。機能性の原因は、性ホルモンの分泌不全によるものや、排卵障害、黄体機能不全(おうたいきのうふぜん)が考えられます。

症状の現れ方

 正常な月経血量に明確な目安があるわけではないので、血量から過多月経、過小月経と判断するのは必ずしも容易ではありません。

 月経血量の増減とともに、月経の日数が延長したり短縮したりすることもあるので、これらが参考になります。月経持続日数は3~7日が正常で、それより短いものを過短月経、長いものを過長月経と呼んでいます。

 器質性の場合は、原因となる病気の発症とともに症状が現れ、その進行とともに症状がひどくなることがあるので、月経血量の時間的変化に気をつけると気づくことができます。

 過多月経が原因で貧血となることがあり、顔色の不良、めまい息切れなどの貧血の症状が現れます。

検査と診断

 原因となる病気に応じた検査を行い、診断します。

治療の方法

 原因となる病気それぞれの治療を行います。機能性と診断された場合の多くは治療は不要ですが、過多月経のために貧血になっていればその治療を行い、過少月経で妊娠を望む場合は、妊娠成立を目的とした治療を行います。

症状に気づいたらどうする

 月経血量が増えたと感じたら、原因となる病気の有無を調べるため、婦人科を受診する必要があります。

 月経血量が減ったと感じた場合、治療を要しない状態のことが多いのですが、明確な原因があることもあるので、受診するようにしてください。とくに、妊娠を希望する場合などは受診が必要です。

関連項目

 子宮筋腫子宮発育不全症黄体機能不全

久具 宏司

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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