過酸化バリウム(読み)カサンカバリウム(その他表記)barium peroxide

デジタル大辞泉 「過酸化バリウム」の意味・読み・例文・類語

かさんか‐バリウム〔クワサンクワ‐〕【過酸化バリウム】

酸化バリウムを空気中で熱すると得られる無色粉末。強い酸化力があり、水と反応して過酸化水素水酸化バリウムを生じる。過酸化水素の製造原料。化学式BaO2

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精選版 日本国語大辞典 「過酸化バリウム」の意味・読み・例文・類語

かさんか‐バリウムクヮサンクヮ‥【過酸化バリウム】

  1. 〘 名詞 〙 ( バリウムは[ドイツ語] Barium ) バリウムの過酸化物。化学式 BaO2 灰白色正方晶系の粉末状結晶酸化剤として織物などの漂白に用いるほか、過酸化水素の製造などにも用いられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「過酸化バリウム」の意味・わかりやすい解説

過酸化バリウム (かさんかバリウム)
barium peroxide

化学式BaO2。酸化バリウムBaOを空気または酸素中で500℃に加熱すると得られる。また,水酸化バリウム水溶液に過酸化水素を加えると8水和物BaO2・8H2Oが沈殿する。無水和物は無色,正方晶系の粉末で,比重4.95。バリウムイオンBa2⁺と過酸化物イオンとから成るイオン結晶で,カルシウムイオンCa2⁺とアセチレン化物イオンとから成るカルシウムカーバイドと同様の構造をもつ。高温では分解して酸素を放つ。水には溶けにくいが,低温に保って希硫酸を加えれば過酸化水素H2O2の水溶液が得られる。

 BaO2+H2SO4─→H2O2+BaSO4

過酸化水素の実験室的な製造に利用され,また酸化剤,漂白剤などにも用いられる。
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化学辞典 第2版 「過酸化バリウム」の解説

過酸化バリウム
カサンカバリウム
barium peroxide

BaO2(169.33).水酸化バリウムの飽和水溶液に過酸化水素水を加えると,八水和物BaO2・8H2Oが得られる.また,BaO粉末を乾燥した酸素気流中500 ℃ で加熱すると無水物が得られる.無水物は白色の粉末.密度4.96 g cm-3融点450 ℃.840 ℃ でBaOと O2 とに分解する.水に微溶.熱水では分解してBa(OH)2と O2 になる.酸を作用させると,H2O2を生じて分解する.八水和物は白色で光沢のある結晶.密度2.29 g cm-3.空気中におくとCO2の作用で徐々に炭酸塩になる.有機物に触れると発火する.低温で希硫酸を加えるとH2O2水溶液を生じるので,かつてはH2O2の製造原料として用いられていた.酸化剤,漂白剤,X線防御用ガラスの製造などに用いられる.有毒.[CAS 1304-29-6]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「過酸化バリウム」の意味・わかりやすい解説

過酸化バリウム
かさんかばりうむ
barium peroxide

バリウムと酸素の化合物の一つ。酸化バリウムを二酸化炭素を含まない空気、または酸素中で500℃に加熱すると得られる。また、水酸化バリウム飽和水溶液に過酸化水素を加えると八水和物(式量313.4、比重2.29)として沈殿する。無水物は灰白色の粉末。アルカリ土類金属の過酸化物のうちもっとも安定であるが、高温に熱すると酸化バリウムと酸素に分解する。冷水にわずかに溶け、熱水では分解する。低温で希硫酸を作用させると過酸化水素溶液が生成する。八水和物は無色、六方晶系の結晶で、100℃で無水物に変わる。無水物よりはいくぶん水に溶けやすい。酸化剤として織物、そばの漂白、過酸化水素の製造原料のほか、爆発時を調整する延時薬として火薬の製造に使われる。

[鳥居泰男]


過酸化バリウム(データノート)
かさんかばりうむでーたのーと

過酸化バリウム
 分子式 BaO2
 式量  169.3
 融点  450℃
 沸点  ―
 比重  4.958
 分解点 840℃

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「過酸化バリウム」の意味・わかりやすい解説

過酸化バリウム
かさんかバリウム
barium peroxide

化学式 BaO2 。白ないし灰白色の粉末。有毒。高温に熱すると酸化バリウムと酸素に分解する。冷水にわずかに溶け,熱水では分解する。動・植物製品の漂白剤,過酸化水素および酸素の製造,染色などに使われる。

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