道者(読み)どうしゃ

精選版 日本国語大辞典 「道者」の意味・読み・例文・類語

どう‐しゃ ダウ‥【道者】

〘名〙
道教を修めた者。道士。道人。
※十善法語(1775)二「道者より仏法儒道をそしる」 〔劉得仁‐山中尋道人不遇詩〕
仏道を修めた者。また、仏道修行に志す者。
※凌雲集(814)謁海上人〈仲雄王〉「道者良雖衆、勝会不遇」
※正法眼蔵随聞記(1235‐38)三「宗門語録等、猶真実参学の道者はみるべからず」 〔皇甫冉‐送普門上人〕
③ 歌道、茶道などの道を修めた人。その道の専門家
※浮世草子・日本新永代蔵(1713)五「芸者を下に見ん、道者をなじらんとして、基を取うしなひて金銀なき時は、何の芸にても身は過がたし」
④ (「同者」「同社」とも書く) 社寺霊場参詣・巡拝する旅人。多く、連れ立ってでかけたことから、道連れ、同伴の者の意ともなった。遍路巡礼。回国。道衆
※義経記(室町中か)三「百人同者付け奉りて、三の山の御参詣を事故なく遂げ給ふ」
⑤ 僧から施主をさしていう称。檀那(だんな)。檀家。
⑥ 街道の宿場にいる遊女。また、一般に、遊女。→みち(道)の者
随筆・麓の色(1768)一「遊女を道者と呼は、駅路に立の名にして」

みち‐しゃ【道者】

〘名〙 その道に通じた人。専門家。権威
※虎明本狂言・薩摩守(室町末‐近世初)「かやうの所にてはいつはりを申てもくるしからぬ、道しゃがあまたあるひやひ」

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デジタル大辞泉 「道者」の意味・読み・例文・類語

どう‐しゃ〔ダウ‐〕【道者】

道教を修めた者。道士。
仏道を修めた者。また、仏道の修行者
(「同者」「同社」とも書く)連れ立って社寺を参詣・巡拝する旅人。遍路。巡礼。道衆。

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改訂新版 世界大百科事典 「道者」の意味・わかりやすい解説

道者 (どうしゃ)

はじめは仏教や道教などの修行者を指すことばであったが,やがて,仏道修行に精進する在家(ざいけ)の人をいうようになり,さらに転じては,遠路,苦難をいとわず,先達に導かれて霊山,霊地に詣でる人々を呼ぶことになった。それは鎌倉時代の中ごろからである。《古今著聞集》巻一に,〈彼の河の橋を道者わたるとて,南無大悲三所権現と上下諸人唱へ奉る声をききて〉とあるのや,《西鶴織留》巻四に,〈在々所々講まいり(中略),東国西国の十ヶ国も入乱れて,道者の千五百,二千,三千〉とみえるのは,最後にあげた意味の道者を指したものである。行者(ぎようじや)と呼んだ例もある。
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普及版 字通 「道者」の読み・字形・画数・意味

【道者】どうしや

有道の人。

字通「道」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の道者の言及

【熊野信仰】より

…この観心十界図は近年全国から11ヵ所の遺存例(同一図柄)が挙がり(うち半数は参詣曼荼羅と併存),ここから熊野比丘尼の絵解き活動の広さをよく知りえるのである。聖地熊野を初期に訪れたのは修行僧であった(《法華験記》)が,のち一般庶民の大幅な参加が見られ,彼らを〈熊野道者〉と呼んだ。平安時代末期には,白河,後白河,後鳥羽の3上(法)皇の参詣が大がかりに行われ,頻度もおよそ100年間に90回余というはげしさであり,これに追随するかのように,〈人まねの熊野まうで〉(《玉葉》文治4年9月15日条),〈蟻の熊野詣〉(《太閤記》《和訓栞》)の行列が続いたのである。…

※「道者」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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