道士
どうし
出家得度して道教の教団に属し、道観や廟(びょう)に居住する人。道流、羽士(うし)、黄冠(こうかん)などの別称がある。秦(しん)・漢時代の方士(ほうし)はその先駆である。道士になるには、師を拝してその徒弟となり、所定の資格を得ると道籙(どうろく)(免許証)や字号(法名)を授けられる。僧のように剃髪(ていはつ)はせず、髻(まげ)に結って冠(かんむり)や巾(きん)をつけ、道服を着る。女子もまた出家して女道士となるが、これは道尼(どうに)、道姑(どうこ)、また、髪を蓄えて冠をつけたから女冠(じょかん)ともよばれた。
正規の道士のほか、俗世間に住んで妻帯肉食をしながら祈祷(きとう)などに従事する者もあり、これを火居(かきょ)道士とよんだ。出家道士には階級や職名があるが、全真教ではたとえば長春真人丘処機(きゅうしょき)などのように学徳高い祖師を真人(しんじん)と敬称した。正一(しょういつ)教(天師道)では代々の管長は天師とよばれた。
[澤田瑞穂]
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どう‐し ダウ‥【道士】
〘名〙 (「どうじ」とも)
① 道義を体得した人。
有道の士。君子。〔書言字考節用集(1717)〕 〔新序‐節士〕
② 仏道を修めた人。仏門にある人。特に、俗人に対して僧侶をいう。
※観智院本三宝絵(984)中「前世にして衡山にて法花経を説給し時、我等は盧岳の道士として時々まゐりて聞きし人々なり」 〔盂蘭盆経疏‐下〕
③ 道教をおさめた人。道教の師。道家。
※今昔(1120頃か)六「何况んや、五岳の道士と云ふ者、其の数有り」 〔漢書‐王莽伝下〕
※菅家文草(900頃)二・九日侍宴、観賜群臣菊花「鶏雛不老仙人署、麝剤初穿道士園」 〔
郭璞‐遊仙詩〕
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道士
どうし
dao-shi
もとは,儒家,道家などいずれの学派にしろ,その説く道を求めるりっぱな人をさす語であった。漢代から方術が盛んになるにつれ,不老長生などの方術を修める者をいうようになり,さらに,道教教団が成立すると,主として,専門に道教を修行する人をさすように変化した。
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道士【どうし】
中国,道教の実修者の総称。仏教の僧,僧侶に相当し,本来の〈有道の士〉と〈道術の士〉〈方士〉の両義がある。女性道士は〈女道士〉〈女冠〉。
→関連項目永楽宮
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どうし【道士 daò shì】
中国で,道教の修行につとめ,道教の儀礼をとり行う専門家をいう。仏教における僧侶にあたる。元来,〈道人〉の語とともに広く〈有道の士〉を意味し,仏教の僧侶もこの語でよばれることがあった。同時にこの語には〈道術の士〉〈方士〉の意味がそなわっており,およそ4世紀以後,もっぱら道教の専門的実修者をさすようになった。女性の道士は〈女道士〉とも〈女冠〉ともよばれる。【吉川 忠夫】
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世界大百科事典内の道士の言及
【方士】より
…中国古代において〈方術〉と呼ばれる技術,技芸を駆使した人たち。〈術士〉〈方術士〉〈道士〉などとも呼ばれた。方士の起源は戦国時代の斉や燕など東方の沿海地域にもとめられ,もっぱら鬼神と通ずる術をあやつって〈巫〉に類似するが,その術は斉の学者の鄒衍(すうえん)の思想によって潤色された。…
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