死者の残した財産を受け継ぐこと。1947年(昭和22)の改正前の民法では、相続には、戸主について行われる家督相続と、戸主以外の家族について行われる遺産相続との2種が区別されていた。家督相続が戸主たる身分(およびそれに伴う財産)の相続であったのに対し、遺産相続は純然たる財産相続であった。第二次世界大戦後、民法の改正で家督相続が廃止された結果、遺産相続ということばもなくなり、すべて単に相続ということばでよばれることになった。この改正前の遺産相続人は、被相続人の直系卑属、配偶者、直系尊属、被相続家の戸主の4種で、この順序で相続することになっていて、家督相続の場合のような指定・選定の相続人は認められなかった。
第二次世界大戦後の相続は死後相続・財産相続に限られ、数人の者が同時に相続する共同相続が原則となった(民法882条~1050条)。1980年に配偶者の法定相続分を3分の1から2分の1に引き上げる改正があったが、その後は、2018年(平成30)まで、大きな改正は行われなかった。この2018年の改正は、高齢化社会の進展により老老相続が増加し、とくに高齢となりがちな残された配偶者の生活に配慮する必要性が高まったことをおもな目的とするものである。より具体的には、配偶者居住権(民法1028条以下)、預貯金の仮払い制度(同法909条の2)、自筆証書遺言保管制度の創設(法務局における遺言書の保管等に関する法律)等が新設された。
[高橋康之・野澤正充 2019年7月19日]
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