配合溶解インスリン製剤(読み)ハイゴウヨウカイインスリンセイザイ

病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「配合溶解インスリン製剤」の解説

配合溶解インスリン製剤

製品名
《インスリンデグルデク・インスリンアスパルト配合剤》
ライゾデグ(ノボノルディスクファーマ)

 インスリン療法適応となる糖尿病に用いる薬で、超速効型と持効型を混合している溶解インスリン製剤です。超速効型や持効型のインスリン製剤を個別に注射しなくてもよいため注射の回数も少なく、注射前に混濁操作をする必要もありません。注射してから効果が出るまでの時間は10~20分、作用の持続時間は連続使用時で42時間と長いため低血糖リスクも少なくなっています。


①もっとも注意しなければならないのは低血糖です。これは、血糖値が下がりすぎるために脳がエネルギー不足におちいり、けいれんがおこったり、意識が薄れたりする副作用です。このような症状があるときは、必ず医師の診察を受けてください。


 低血糖をおこさないために、食事は、1日3食、規則正しくとってください。1食抜いたり、激しい運動を行った場合、低血糖をおこしがちです。


 体がふらついたり、手が震えたりするのは、低血糖の前兆のことが多いのです。前兆らしい症状に気づいたら、ブドウ糖10gまたは砂糖20g程度、あるいはブドウ糖を含むジュースなどをとってください。低血糖を予防することができます。


 いったん低血糖がおこると、治まったあと数日は、また再発する危険があります。いつもスティックシュガーやブドウ糖ゼリーなどを持ち歩くようにしましょう。


②過敏症状(発疹ほっしんかゆみなど)、アナフィラキシーショック(呼吸困難、血圧低下頻脈発汗、全身の発疹、血管神経性浮腫など)がおこることがあります。このような症状が現れたら、使用を中止してすぐ医師に相談してください。


③糖尿病性網膜症の顕在化または増悪、注射部位反応(疼痛、かゆみ、硬結など)、リポディストロフィー(皮下脂肪萎縮・肥厚など)、頭痛吐き気腹痛、呼吸困難、体重増加、治療後神経障害などがおこることがあります。このような症状がおこったときは、医師に相談してください。


①自己注射剤で、1日1回使用では毎日一定の主たる食事の直前、1日2回使用では朝食直前と夕食直前に皮下注射します。症状の程度によって目標血糖値に応じた使用量などが異なりますので、1日の使用量、使用時間などについては医師の指示をきちんと守り、かってに中止したり、増量・減量しないでください。


 また、皮下注射する部位は、腹部、大腿部、上腕部、臀部などに行います。使用部位により吸収速度が異なり、その結果作用発現時間が異なるので部位を決め、そのなかで注射場所を毎回変えましょう。


 使用にあたっては、十分な教育訓練を受け、必ず添付の使用説明書を読んでください。また、器具の廃棄方法や低血糖の注意などについて十分な指導を受けてください。


②低血糖症状が現れている人、この薬の成分に対して過敏症の既往歴のある人には使用できません。


 また、インスリン需要の変動が激しい人(手術・外傷・感染症などのある人、妊婦)、重症の肝・腎機能障害のある人、脳下垂体機能不全または副腎皮質機能不全の人、下痢・嘔吐おうとなど胃腸障害のある人、飢餓状態・不規則な食事摂取の人、激しい運動をする人、大量飲酒、血糖降下剤を服用している人、自動車運転・高所作業などに従事している人、自律神経障害の人、高齢者は医師に相談してから用いてください。


③インスリンの用量が不足した場合に、高血糖をおこすことがあります。用量には十分注意しましょう。


④この薬を使用中に他の薬を使用する必要が生じた場合は必ず医師に相談してください。


服用する薬によってちがいはありますが、血糖降下剤三環系抗うつ剤サリチル酸系解熱鎮痛剤シクロホスファミド水和物βブロッカー製剤モノアミン酸化酵素(MAO)阻害剤などと併用すると、血糖降下作用が増強して、低血糖がおこりやすくなることがあります。


 また、チアジド系降圧利尿剤副腎皮質ホルモン剤甲状腺ホルモン剤卵胞ホルモン剤利尿剤、抗結核剤のイソニアジドと併用すると、血糖降下作用が減弱し、高血糖がおこりやすくなることがあります。


 蛋白同化ステロイド剤などとの併用は、血糖降下作用が増強または減弱することがあります。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報