カツオの内臓の塩辛。伝統的なもののほかに調味酒盗というものもつくられている。土佐(高知県)山内家12代の藩主豊資(とよすけ)が好み、酒盗という名をつけたという。
[金田尚志]
かつお節や缶詰製造の際に出る内臓から幽門垂、胃、腸を取り分け、胃と腸は切り開いて内容物を去り、よく水洗(すいせん)後、水きりする。これを適当な大きさに切り、30%程度の食塩を加え、容器に入れ熟成させる。毎日かき回し食塩の浸透を助けていると60日ぐらいでできあがる。油の多い原料を使うと油の酸化により渋味を帯びるようになるので、春から夏にかけてとれるカツオを使うほうが良品を得る。秋になり三陸沖でとれるものは油が多く不味となりやすい。調味酒盗は塩蔵したものに20%のアルコールを加えてよく攪拌(かくはん)し、水きりしたものに2%酢酸を同量加え水きりし、砂糖、みりん、水飴(みずあめ)、蜂蜜(はちみつ)、酒、グルタミン酸ソーダなどや香辛料を加えた調味液を添加して熟成させる。瓶詰にしたものは6か月ないし1年間貯蔵できるが、古くなると油焼けをおこし渋味を増す。酒の肴(さかな)として通人に好まれる。静岡、高知、鹿児島県などカツオ漁の盛んな太平洋の沿岸各地でつくられている。
[金田尚志]
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…イカはふつう細切りの肉と内臓に塩を加えてつくるが,墨を加える場合もあり,これは黒作りと呼ぶ。カツオは肉と内臓でつくるものと内臓だけのものとがあり,かつては前者を〈カツオのたたき〉,後者は酒盗(しゆとう)と呼ばれた。〈たたき〉というのは,肉も内臓もいっしょに包丁でたたいて塩辛にしたためである。…
※「酒盗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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