野犬(読み)やけん

日本大百科全書(ニッポニカ)「野犬」の解説

野犬
やけん

人の生活に依存しないイヌをいう。家(かけん)(家畜のイヌ)は、生活様式からみて三つに分けることができる。一つ目は明確に飼育者がわかるもので、普通の家庭犬や作業犬などがこれにあたる。二つ目は飼育者ははっきりしないが、市街地を徘徊(はいかい)し人の残りものを食料源として暮らす、いわゆるのら犬である。かつては家庭犬であったものが、捨てられたり迷い犬になったりしてのら犬化することが多い。三つ目が犬で、人とはほとんど接触をもたず、山野、丘陵地に自活し、人の生活に依存せず自ら狩りを行う。日本でも地域によってはニホンジカを狩っている例もあり、養鶏場を襲うこともある。野犬は本来は家庭犬から出たものである。捨て犬、迷い犬が山野に生き残り、自然繁殖して野生化したもので、真の野生種のイヌ科動物とは異なる。多頭数になれば、地域の野生動物、畜産業を営む人に影響を及ぼすので、イヌを飼育する場合は、安易な捨て犬などは慎まなければならない。

増井光子

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精選版 日本国語大辞典「野犬」の解説

や‐けん【野犬】

〘名〙 飼い主のない犬。のら犬。
※浮世草子・浅草拾遺物語(1686)序「狐狼を友にし野犬(ヤケン)に道しるべして」 〔梅堯臣‐対雪憶往歳銭塘西湖訪林逋詩〕

の‐いぬ【野犬】

〘名〙 飼い主のない犬。のらいぬ。やけん。
※浄瑠璃・四天王最後(1661)一「のいぬのさとふしとやらんとて」

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デジタル大辞泉「野犬」の解説

の‐いぬ【野犬】

飼い主のない犬。のら犬。やけん。
「悪い―が出て吠えて困る」〈鴎外・ながし〉

や‐けん【野犬】

飼い主のない犬。のら犬。のいぬ。→野良犬[補説]
[類語]愛犬番犬忠犬猟犬飼い犬野良犬警察犬軍用犬盲導犬介助犬牧羊犬犬ころ狆ころわんわん子犬小犬小形犬中形犬大形犬猛犬狂犬畜犬名犬駄犬負け犬日本犬和犬洋犬聴導犬尨犬むくいぬ犬種

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世界大百科事典内の野犬の言及

【イヌ(犬)】より

…一方,ペットとしての犬飼育も,《枕草子》などに,そのあとをとどめている。反面,都市における野犬の横行も早くからのことであった。13世紀初頭に宮中の故実を記した《禁秘御抄》には,宮中諸所の縁の下から犬を狩り出して弓で射る〈犬狩り〉行事での近年の乱れが指摘され,《明月記》(1235)などの貴族の日記には,しばしば犬が宮中や邸内を汚す記事があり,ときには人骨をくわえこんだこともあった。…

※「野犬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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