盲導犬(読み)モウドウケン

デジタル大辞泉 「盲導犬」の意味・読み・例文・類語

もうどう‐けん〔マウダウ‐〕【盲導犬】

盲人を目的の場所まで安全に誘導する訓練を受けた犬。人は犬につけたハーネス(胴輪)の把手とってをつかんで歩行する。犬種はラブラドルレトリバーシェパードが多い。アイメイト。→補助犬
[類語]愛犬番犬忠犬猟犬飼い犬野良犬野犬警察犬軍用犬介助犬牧羊犬犬ころ狆ころわんわん子犬小犬小形犬中形犬大形犬猛犬狂犬畜犬名犬駄犬負け犬日本犬和犬洋犬聴導犬尨犬むくいぬ犬種

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精選版 日本国語大辞典 「盲導犬」の意味・読み・例文・類語

もうどう‐けんマウダウ‥【盲導犬】

  1. 〘 名詞 〙 盲人が外出するとき、道案内をし、歩行の安全を守るように訓練された犬。犬種はシェパードやレトリバーが多い。アイメイト。
    1. [初出の実例]「さういふ盲癈兵に、せめて目のかはりにと言ふので、政府が盲導犬を与へたのです」(出典:愛犬エリ(1932)〈川端康成〉一)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「盲導犬」の意味・わかりやすい解説

盲導犬
もうどうけん

視覚障害者を目的の場所まで安全に誘導するイヌをいう。この語は、1938年(昭和13)に来日したアメリカ人観光客で視覚障害者のゴードンJ. F. Gordonが伴ったオルティとよぶ「盲人誘導犬」が略称されるようになったものである。盲導犬をより正式に定義すれば、国または地方自治体が認めた公益法人において、5年以上の経験をもつ歩行指導員により十分訓練されたイヌが、使用を希望する視覚障害者とともに法人の定める4週間以上の歩行指導を終了した後、ハーネス(胴輪)をつけ、使用者証を所持した使用者本人と歩行する場合のみ、といえる。したがって、盲導犬としての訓練課程を終了しても、ハーネスをつけていない場合、歩行指導を受けた使用者以外の人が伴ったときは盲導犬と認められない。「歩行」は人間生活の基本的動作のなかでもっとも重要なことで、盲導犬の使用は、視覚障害者の歩行問題を解決する有効な一つの手段である。1916年(大正5)にドイツで、第一次世界大戦により目に障害をもつようになった人のために盲導犬の育成が始められた。日本では1939年(昭和14)ドイツから盲導犬としての訓練を終了した4頭のシェパードが輸入されたが、第二次世界大戦における敗戦とともに忘れられた。その後1957年(昭和32)に国産盲導犬第一号のチャンピイが誕生し、実質的な盲導犬の歴史が始まり、1972年ごろから盲導犬を「アイメイト」とも称するようになった。また、1978年の道路交通法の改正により、視覚障害者の歩行は政令で定める白色または黄色の杖(つえ)を携えるか、または政令で定める盲導犬を連れていなければならないと定められた。また、この改正により公共交通機関への盲導犬の同伴が認められている。2002年(平成14)には身体障害者補助犬法が施行され、国や自治体が管理する公共機関への同伴が認められている(レストラン、ホテルや旅館などの民間施設に関しては2003年施行)。

 盲導犬は国家公安委員会の指定した施設で育成されているが、訓練には半年から1年程度を要する。施設は全国に9施設(10か所)ある。犬種はゴールデンレトリバー、ラブラドルレトリバーがほとんどで、2009年時点で国内で働いている盲導犬は1070頭である。

塩屋賢一

『盲導犬普及運動推進センター著『日本の盲導犬』(1984・市民出版社)』


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改訂新版 世界大百科事典 「盲導犬」の意味・わかりやすい解説

盲導犬 (もうどうけん)

盲人の歩行を補助し,盲人を危険から回避させるよう特別に訓練された犬。盲導犬訓練の起源は,ドイツの戦傷盲人援助の目的で1916年,ドイツのオルデンブルクに盲導犬学校が設立されたことによる。23年にはポツダムに盲導犬訓練所が開設され,以来盲導犬訓練による盲人援助がヨーロッパ全土に広がった。日本では,戦前ドイツから輸入した盲導犬を戦傷盲人の人々に渡したことがあるが,この制度は第2次大戦で挫折した。戦後ふたたび盲導犬育成への関心が高まり,67年,財団法人〈日本盲導犬協会〉が組織された。盲導犬の訓練には18ヵ月を要し,犬種にはシェパードとレトリーバー種の雌犬が多い。盲導犬は飼主の盲人の指令を絶対遵守するよう訓練されているが,目的地への進路決定や周囲の状況判断をするのは盲人自身である。盲人は自分の〈眼〉として犬を使いこなし,生活の支えである犬との信頼関係をつくるために,犬のめんどうはすべて自分でみなければならない。

 近年,盲導犬の交通機関利用に対する制限はしだいに解消されてきたが,ホテル,劇場,レストラン等の利用については,まだトラブルが多く,社会的理解の普及が望まれている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「盲導犬」の意味・わかりやすい解説

盲導犬
もうどうけん
guide dog

視覚障害者の歩行を助けるイヌ。介助犬聴導犬とともに法律で定める身体障害者補助犬の一つ。適種犬は,ラブラドル・レトリーバーゴールデン・レトリーバーなど。ハーネスと呼ばれるハンドルのついた胴輪をイヌにつけ,視覚障害者はそのハンドルを持って歩く。盲導犬は障害物を避けながら歩き,停止することで交差点や段差を視覚障害者に伝える。視覚障害者は盲導犬に声をかけ方向の指示を与えながら歩行する。第1次世界大戦中のドイツにおいて,盲目の軍人らのためにイヌを訓練したのが始まりとされる。日本では 1950年代後半に導入され,補助犬のなかでは実働頭数が最も多い。2002年に施行された身体障害者補助犬法で規定され,公共交通機関,公共施設およびホテル,デパート,飲食店など不特定多数の者が利用する施設への同伴が認められた。

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百科事典マイペディア 「盲導犬」の意味・わかりやすい解説

盲導犬【もうどうけん】

盲人の歩行を補助するために訓練されたイヌ。おもにシェパード,ラブラドル・レトリーバーなどが用いられる。19世紀に初めてパリの病院で盲導犬としての訓練が行われ,第1次大戦後,ドイツで本格的に用いられるようになった。日本では1967年財団法人〈日本盲導犬協会〉が組織された。聴導犬,介助犬(肢体不自由者の日常生活動作を介助するために訓練されたイヌ)とともに,〈身体障害者補助犬法〉(1999年成立,2002年施行)の対象とされ,公共施設や公共交通機関などはこれら補助犬の同伴を拒んではならないと規定された。
→関連項目身体障害者犬法

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世界大百科事典(旧版)内の盲導犬の言及

【イヌ(犬)】より

…(B)愛玩犬 チワワ,チン,ペキニーズ,マルチーズ,ポメラニアンプードル(イラスト),ダルメシアン(イラスト),ブルドッグ,チャウ・チャウなど。 以上のほか特殊な用途に応じて,警察犬(ジャーマンシェパード,ブラッドハウンドなど),軍用犬(ドーベルマン・ピンシェルなど),救助犬(セント・バーナードなど),闘犬(土佐闘犬など),盲導犬(ラブラドル・レトリーバーなど)と呼ぶこともある。
【習性と行動】
 飼われたイヌは飼主に服従し,命令に服するだけでなく進んで外敵を攻撃して飼主を守るが,これは飼主を自分が属する群れの上位者と見ているためである。…

※「盲導犬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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