警察犬(読み)ケイサツケン

デジタル大辞泉 「警察犬」の意味・読み・例文・類語

けいさつ‐けん【警察犬】

警察が、犯罪捜査遭難者捜索などに使う犬。日本ではシェパードを多く使う。→警察犬種
[類語]愛犬番犬忠犬猟犬飼い犬野良犬野犬軍用犬盲導犬介助犬牧羊犬犬ころ狆ころわんわん子犬小犬小形犬中形犬大形犬猛犬狂犬畜犬名犬駄犬負け犬日本犬和犬洋犬聴導犬尨犬むくいぬ犬種

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共同通信ニュース用語解説 「警察犬」の解説

警察犬

警察の犯罪捜査や行方不明者の捜索で出動する犬で、シェパードやラブラドルレトリバーといった犬種が多い。警察保有の「直轄犬」と民間が飼育する「嘱託犬」があり、その合計頭数はここ10年ほど横ばいで、昨年末時点で計1355頭。嘱託犬となるには、臭気選別の実力などを測る試験で合格する必要がある。銃器や薬物捜査では大半の警察犬がどちらかを専門としているが、最近は両方を捜索できる「ハイブリッド犬」も登場した。犯罪捜査などを担う刑事部門の警察犬のほかに、災害現場の生存者捜索や爆発物探索、犯人制圧に当たる警備部門の「警備犬」も活躍している。

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精選版 日本国語大辞典 「警察犬」の意味・読み・例文・類語

けいさつ‐けん【警察犬】

  1. 〘 名詞 〙 警察が犯罪の捜査、遭難者の捜索、パトロールなどに使役する犬。
    1. [初出の実例]「あの警察犬(ケイサツケン)と云ふ、ピンと耳の立った狼の様な犬ネ」(出典:凸凹放送局(1929)〈池部鈞〉ラヂオ風景)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「警察犬」の意味・わかりやすい解説

警察犬
けいさつけん

警察によって捜索や警備に用いられるイヌの総称。イヌの鋭い嗅覚(きゅうかく)や追跡能力を利用して犯罪捜査に役だてようとする試みは古く、1759年ごろにはすでにフランスで監視や犯人逮捕の一助として用いられていた。その後1899年にはベルギーで警察犬制度が生じ、ドイツなど各国にしだいに普及した。日本では1912年(大正1)12月にイギリスから購入されたゴールデンレトリバーグレートデンの2頭が訓練されたが、本格的な制度とはならず、1930年代の終わりごろに改めて警察犬制度の発足がみられた。第二次世界大戦後は治安の悪化もあり、ふたたび警察犬の利用価値が注目され、1956年(昭和31)には警視庁が飼育訓練を行うに至った。しかし、県によっては優秀な民間の訓練犬を嘱託犬に指定しているところもある。警察犬は日本ではもっぱら捜査や警備活動に従事している。犯行現場に残された遺留品が容疑者のものか否かの選別作業や、犯人の足跡追及、凶器や危険物の発見などがそのおもな任務である。

 警察犬として用いられる犬種は作業意欲の旺盛(おうせい)な犬種がよく、日本ではドイツシェパード犬がもっとも多く使用されているが、日本警察犬協会ではほかにエアデールテリアドーベルマンボクサーコリーを認定しており、1984年からはラブラドルレトリバーが、1992年からはゴールデンレトリバーがこれに加わった。現場に出動して活躍するまでに、6か月の基礎訓練、1年6か月の応用訓練期間が必要である。

[増井光子]

『来栖三郎著『首輪をつけた刑事たち――警察犬物語』(1995・文芸社)』


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改訂新版 世界大百科事典 「警察犬」の意味・わかりやすい解説

警察犬 (けいさつけん)

警察がおもに犯罪捜査に利用する犬。犬のすぐれた嗅覚力,警戒性,命令への服従性などから,警察犬の採用は,すでに18世紀後半にフランスで始まっている。日本で警察犬採用が本格化したのは第2次大戦後である。警察犬としては,シェパード,ドーベルマン・ピンシェル,エアデール・テリア,ボクサー,コリアが適するとされるが,日本ではシェパードがおもである。警察犬には,警察が飼育訓練にあたるものと,それを民間に委託するものとがある。警察犬は,遺留品などの原臭をもとに,犯罪現場から犯人,捜査資料などを追求したり,不審者から犯罪現場,捜査資料などを追求するほか,物から人,人から物,物から物を識別する作業を行う。日本では,警察犬による臭気選別結果に科学的法則性を認めて裁判上の証拠とした裁判例もあるが,一方でその科学的正確さ,実験方法あるいは警察犬の訓練についての問題指摘もある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「警察犬」の意味・わかりやすい解説

警察犬
けいさつけん
police dog

警察が事件解決のために使う,訓練されたイヌ。シェパードドーベルマン・ピンシェル,エアデール・テリアなどを用い,イヌの嗅覚,襲撃力を利用して,一定の訓練を行なったうえで,犯人追跡,あるいは犯人の襲撃に使う。日本における警察犬制度は,1912年にイギリスから 2頭の警察犬を購入したのが始まり。日本の警察犬には,都道府県警察で飼育する直轄警察犬と,民間で飼育する優秀なイヌを嘱託する嘱託警察犬とがある。

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百科事典マイペディア 「警察犬」の意味・わかりやすい解説

警察犬【けいさつけん】

犯罪捜査,パトロールなどのために特別に訓練された犬。すぐれた嗅覚を利用して犯人の追跡,発見などに用いられる。18世紀中ごろフランスの警察が使用したのが始まり。日本では1952年警察犬嘱託制度が採用され,主としてシェパード,エアデール・テリア,ボクサー,コリー,ドーベルマン・ピンシェルなどが用いられている。→軍用犬

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世界大百科事典(旧版)内の警察犬の言及

【イヌ(犬)】より

…(B)愛玩犬 チワワ,チン,ペキニーズ,マルチーズ,ポメラニアンプードル(イラスト),ダルメシアン(イラスト),ブルドッグ,チャウ・チャウなど。 以上のほか特殊な用途に応じて,警察犬(ジャーマンシェパード,ブラッドハウンドなど),軍用犬(ドーベルマン・ピンシェルなど),救助犬(セント・バーナードなど),闘犬(土佐闘犬など),盲導犬(ラブラドル・レトリーバーなど)と呼ぶこともある。
【習性と行動】
 飼われたイヌは飼主に服従し,命令に服するだけでなく進んで外敵を攻撃して飼主を守るが,これは飼主を自分が属する群れの上位者と見ているためである。…

【エアデール・テリア[種]】より

…原産地がイギリスの獣猟犬,警察犬。テリア種のうちで最も大きく,“テリアの王様The king of terriers”と称され,犬種名は発祥地であるイギリス北東部のエアデール・バレーに由来する。…

※「警察犬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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