野間半島(読み)のまはんとう

日本歴史地名大系 「野間半島」の解説

野間半島
のまはんとう

薩摩半島南西端、北西に向かって突き出した小半島。西端にはさらに野間池とよぶ小さな湾入を挟んで野間岬へと通じる半月形の小突起がある。五万分一地形図にはこの突起部にのみ野間半島と記されているが、小半島全域と考えるべきで、現在の笠沙町域にほぼ一致する。周囲はリアス海岸をなし、山脚部は急崖で海に没する凹凸の激しい海岸である。周辺には坊津ぼうのつ町域の沖秋目おきあきめ島をはじめとする小島岩礁が多数散在する。半島部の西端近くに野間岳がそびえる。野間岬のある小突起部は最高点一二八メートルで、平坦な台地状をなしているが、周囲はすべて海食崖によって囲まれる。薩摩半島の地質基盤は中生代四万十累層群であるが、野間半島部でみられる範囲はごく一部に限られ、広くは新第三紀の新期花崗岩類や古期火山岩類(角閃石安山岩)などによって占められる。

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改訂新版 世界大百科事典 「野間半島」の意味・わかりやすい解説

野間半島 (のまはんとう)

鹿児島県薩摩半島の南西部にある副半島。北西方向に突出して東シナ海に臨み,さらにその先端に陸繫島の野間岬がある。南さつま市に属する。花コウ岩,安山岩などの火山岩からなり,最高点の野間岳(591m)は海上交通の標識の役割を果たしてきた。東岸はリアス海岸,西岸断崖で,野間岬の基部には陸繫のとき取り残された野間池がある。シイカシ常緑広葉樹茂りヘゴ自生北限地(天)でもあり,坊野間県立公園に含まれる。海岸に小集落が散在し,キビナゴマアジ,イカなどを漁獲する。半島基部の大浦地区は1965年完成の干拓地で水田が広がる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「野間半島」の意味・わかりやすい解説

野間半島
のまはんとう

鹿児島県薩摩半島(さつまはんとう)の南西端に突出した小半島。南さつま市にある。周囲はリアス海岸をなし山脚部が急傾斜で海に没し、凹凸の激しい海岸線である。周辺には多数の小島や岩礁群も散在する。最高点は野間岳で標高591メートル。山頂付近がドーム状の独特の形態を示している。基盤は四万十(しまんと)層群であるが、北側海岸部の一部に露出する程度で、広くは第三紀の火山岩類(輝石安山岩)に覆われている。先端部には、陸繋砂州(りくけいさす)で形成された野間池を挟んで野間岬が東シナ海に向かって突出する。随所にヘゴが自生し、常緑広葉樹林が広くみられる。付近一帯は坊野間県立自然公園に指定されている。

[塚田公彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「野間半島」の意味・わかりやすい解説

野間半島
のまはんとう

鹿児島県南西部,薩摩半島の南西に突出する半島。南さつま市に属する。無霜地帯でポンカンが栽培される。随所にヘゴが自生,最高点は野間岳 (591m) 。この一帯の海岸は沈降したリアス海岸で,坊野間県立自然公園に指定されている。釣り客でにぎわう。

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