金子兜太(読み)かねことうた

百科事典マイペディアの解説

金子兜太【かねことうた】

俳人。埼玉県生れ。東大経済学部卒。1974年まで日本銀行勤務。学生時代は加藤楸邨師事,《寒雷》に作品を発表。1955年第1句集少年刊行。1956年現代俳句協会賞受賞。1960年代には前衛俳句運動の旗手と目された。1962年《海程》を創刊主宰。1996年《両神》で詩歌文学館賞を受賞。他の句集に《暗緑地誌》《遊牧集》《皆之》など,評論に《造型俳句六章》《定型の詩法》《種田山頭火》《小林一茶》などがある。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

金子兜太 かねこ-とうた

1919- 昭和-平成時代の俳人。
大正8年9月23日生まれ。昭和18年日本銀行にはいり,組合の初代事務局長をつとめる。加藤楸邨(しゅうそん)に師事し,「寒雷」のち「風」同人。社会性俳句,前衛俳句を主唱し,36年「造型俳句六章」を発表。37年「海程」を創刊。平成15年「東国抄」「金子兜太集」で芸術院賞。17年芸術院会員。20年文化功労者。22年句集「日常」に至る長年にわたる業績で毎日芸術賞特別賞。同年菊池寛賞。埼玉県出身。東京帝大卒。句集に「少年」(昭和31年現代俳句協会賞),「暗緑地誌」など。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

金子兜太
かねことうた

[生]1919.9.23. 埼玉,小川
[没]2018.2.20. 埼玉,熊谷
俳人。昭和・平成俳句を牽引し,俳句の可能性を広げた。父金子元春は開業医で,水原秋桜子主宰の『馬酔木』に所属する俳人伊昔紅(いせきこう)であった。旧制水戸高等学校在学中の 1937年に初めて句作。翌 1938年に全国学生俳誌『成層圏』に参加し,竹下しづの女加藤楸邨中村草田男らを知った。1941年に東京帝国大学経済学部に入学して,加藤楸邨に師事。楸邨主宰の『寒雷』に投句を開始した。1943年日本銀行へ入行。海軍経理学校に短期現役士官として入校して,大日本帝国海軍主計中尉に任官,トラック諸島(現チューク諸島)に赴任。1946年,復員。1947年に日本銀行へ復職した。同 1947年に『寒雷』に復帰。沢木欣一の『風』創刊に参加して,社会性俳句運動に共鳴した。1956年,第一句集『少年』で,第5回現代俳句協会賞。1960年に『造型俳句六章』を発表,暗喩的なイメージを獲得する「造型」の方法を提唱した。この頃より前衛俳句の旗手に数えられた。1962年に同人誌『海程』を創刊。1985年より結社誌とし,主宰に就任。1983年から現代俳句協会会長,2000年から同協会名誉会長,1987年から朝日俳壇選者を務めた。2002年に蛇笏賞受賞。2005年から日本芸術院会員,2008年に文化功労者となる。俳人小林一茶の研究でも知られた。著書に『荒凡夫一茶』などがある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

金子兜太
かねことうた
(1919―2018)

俳人。父は俳人金子伊昔紅(いせきこう)(1889―1977)。埼玉県小川町で生まれ、秩父(ちちぶ)の皆野町で育つ。旧制水戸高校在学中に句作を始め『成層圏』『土上』『寒雷』などに投句。東京帝国大学経済学部卒業後、海軍主計将校としてトラック島(現、チューク島)に赴任。第二次世界大戦後復員、日本銀行に入行。組合運動に活躍した。1946年(昭和21)、同人誌『風』の創刊に参加、社会性俳句運動の主論者となり、「社会性は態度の問題である」などと論じた。引き続き「銀行員等朝より蛍光す烏賊(いか)のごとく」「華麗な墓原女陰あらわに村眠り」などの句に代表される前衛俳句運動の旗手を務めた。1961年『造型俳句六章』を書き、ものと作品との間に創(つく)る主体を置くことを提唱した。1962年『海程』を創刊、代表同人となり、のちに主宰となった。一茶、山頭火(さんとうか)などを論じながら放浪漂泊の再評価に取り組む。1988年紫綬褒章(しじゅほうしょう)受章。1992年(平成4)日中文化交流協会常任理事就任を機に訪中を重ね、「天人合一」の考えを知り共鳴、郷土、自然への関心を深めたが、やがて秩父の狼(おおかみ)に象徴される産土(うぶすな)の地霊との交感のなかに自己の原点をみるようになった。「おおかみに蛍が一つ付いていた」が代表句になる。2002年、『東国抄』(2001)により第36回蛇笏(だこつ)賞を受賞。主要句集に『少年』(1955)、『蜿蜿(えんえん)』(1968)、『金子兜太全句集』(1975)、『遊牧集』(1981)、『詩経国風』(1985)、『両神』(1995。詩歌文学館賞受賞)などがあり、全作品から精選した『金子兜太集』(全4巻、2002)がある。

[平井照敏 2018年3月19日]

 銀行員等朝より蛍光す烏賊(いか)のごとく

『『短詩型文学論』(1963・紀伊國屋書店)』『『定住漂泊』(1972・春秋社)』『『俳童寓話』(1975・北洋社)』『『ある庶民考』(1977・合同出版)』『『熊猫荘点景』(1981・冬樹社)』『『詩経国風 句集』(1985・角川書店)』『『皆之 句集』(1986・立風書房)』『『熊猫荘俳話』(1987・飯塚書店)』『『俳諧有情 金子兜太対談集』(1988・三一書房)』『『両神』(1995・立風書房)』『『花神コレクション・金子兜太』(1995・花神社)』『『エロチシズム』(1996・雄山閣)』『『東国抄 句集』(2001・花神社)』『『金子兜太集』全4巻(2002・筑摩書房)』『『小林一茶 「漂鳥」の俳人』『種田山頭火 漂泊の俳人』(講談社現代新書)』『『わが戦後俳句史』(岩波新書)』『『黄 金子兜太句集』(ふらんす堂文庫)』『『金子兜太 自選三百句』(春陽堂書店・俳句文庫)』『『俳句専念』(ちくま新書)』『『金子兜太句集』(芸林21世紀文庫)』『金子兜太他著、聞き手・黒田杏子『証言・昭和の俳句』上(2002・角川書店)』『成井恵子著『俳句の美学』(1992・牧羊社)』『鶴岡喜久著『超現実と俳句』(1998・沖積舎)』『岡井隆著『前衛短歌運動の渦中で――一歌人の回想(メモワール)』(1998・ながらみ書房、はる書房発売)』『倉橋羊村著『私説 現代俳人論』上(1998・東京四季出版)』

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世界大百科事典内の金子兜太の言及

【寒雷】より

…〈人間探求派〉と呼ばれた主宰者,加藤楸邨(しゆうそん)(1905‐ )は,〈真実感合〉の方法を提唱,生き生きとした実感を,対象と自己を一体にした発想において把握しようとした。楸邨のその志向のもとに,田川飛旅子(ひりよし),金子兜太(とうた),森澄雄らが輩出した。【坪内 稔典】。…

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