神奈川県三浦郡葉山町北部の一地区。逗子(ずし)市南部に接する。海岸沿いに国道134号が走る。海岸道は中世までは古東海道の一部であった。平安末期から三浦氏の一族、大多和義久(おおたわよしひさ)の別館があったが、1177年(治承1)伊豆の蛭ヶ小島(ひるがこじま)に配流中の源頼朝(よりとも)が訪ねたおり、近くの小山に築城(現、鐙摺城跡)しようと検分したが、道が狭く急で、岩に鐙(あぶみ)が摺(す)れたので頼朝が「鐙摺」と命名したのが地名のおこりと伝える。ここの下の船溜(ふなだま)りはわが国近代ヨットの発祥地で、現在も大型のヨットハーバーがある。この付近から逗子市境にかけた一帯の基盤地層に、日本列島の生成史、すなわち第三紀の造山運動を物語る「鐙摺の不整合」が露出していることでも有名。
[浅香幸雄]
…企業の海の家,保養所も多く,近年はリゾートマンションが建ち並ぶ。逗子市に接する鐙摺(あぶずり)は日本のヨットレース発祥地として知られ,ヨットハーバーがあり釣船の基地としてもにぎわう。町の南部,横須賀市にまたがる丘陵部が開発され,湘南国際村が県の企画により生まれている。…
※「鐙摺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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