出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
東アジアで考案された鞍の付属品で,馬の脇腹の下,鞍の左右にさげて,乗り手の脚に泥がかかるのを防ぐ。《貞丈雑記》の〈もとは雨天に衣服にはねつく泥を障る為のもの也,後には晴天にもこれをさして飾とする也,武用にはいらぬ物故,軍陣騎射などに用る事なし〉という記述が現在でも信用されている。画像石,銅鏡,明器,壁画などの表現によると,漢・三国・南北朝時代には長方形の障泥を鞍の下方にさげており,韓国の慶州天馬塚で出土した3例,金冠塚出土の陶質騎馬人物形容器,馬形埴輪,正倉院に残る熊皮の障泥も,この系統に属するが,唐代を境にして長方形から楕円形にかわった。遼・元代のものは半楕円ないし楕円形である。奈良市手向山神社所蔵の唐鞍に付属する障泥も楕円形で,藺莚(いむしろ)を心にして縹染(はなだぞめ)の麻布を裏にはり,表は革に金銅板をはって双鳥文を飾る著しく装飾的なものである。
執筆者:小野山 節
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…大和朝廷の馬具製作にあたった職業部。《日本書紀》雄略7年条に百済貢上の今来才伎(いまきのてひと)の中に鞍部堅貴の名がある。《坂上系図》には仁徳朝に鞍作村主(すぐり)らが阿智使主(あちのおみ)に従って来たと記すが,これは東漢(やまとのあや)氏の管掌下にあったことから造作されたもので,5世紀後半に百済渡来の工人を組織したものであろう。なお日本では5世紀前半より馬具が製作されているので,これ以前の工人渡来の可能性も否定できない。…
※「障泥」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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