長く引き延ばして発せられる音。「お母(かあ)さん」「十(とお)」「お姉(ねえ)さん」「小(ちい)さい」「数(すう)」「多(おお)い」のカー、トー、ネー、チー、スー、オーを、一般にカの長音、トの長音、ネの長音、……というようによぶ。普通の長さ(1音節)の2倍の長さ(2音節)と意識されている。これを音韻論的にどう位置づけるかは説が分かれるが、金田一(きんだいち)春彦は、短い音節のあとに「引き音節」(長音音素)がついたものと解釈する。現代東京語では、オバサンとオバーサン、オニさん(鬼さん)とオニーサンなどの対立例が示すごとく、長音と短い音ははっきり区別されているが、平安時代までさかのぼると、このような明確な区別はなかったと考えられる。漢語の場合は、たとえば、「塀」はていねいな発音ではヘイであるので、これをヘの長音とはみないのが普通である。また活用語の末尾、たとえば「食う」「聞いて」「美しい」を長音とみるかどうかは説が分かれる。
[安田尚道]
『金田一春彦著『日本語音韻の研究』(1968・東京堂出版)』▽『服部四郎著『新版 音韻論と正書法』(1979・大修館書店)』
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