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開放耕地制度 かいほうこうちせいど

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大辞林 第三版の解説

かいほうこうちせいど【開放耕地制度】

封建制下のヨーロッパの耕地制度。村落の耕地をいくつもの耕区に区分し、その中に個人の農地を一か所にまとめず散在させ、耕作は村落全体で共同して行う。

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百科事典マイペディアの解説

開放耕地制度【かいほうこうちせいど】

中世の西欧諸国で広く行われていた農地制度で,典型的には三圃(さんぽ)制のもとでみられた。この農法では農民の全保有地が開放された状態に保たれ,冬穀・夏穀・休耕の輪作が共同で行われた。

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世界大百科事典 第2版の解説

かいほうこうちせいど【開放耕地制度 open field system】

ヨーロッパ中世に典型的に見られる共同体的土地制度。石垣,生垣,溝などの恒常的仕切りによる〈囲込みenclosure〉を認めず,個々の農家の所有する耕地を〈開放された状態open〉に保つことによって,村落共同体による耕作規制の徹底を図ったために,このように呼ばれる。 村域内部の耕地は,それぞれが一団をなす耕区と呼ばれる複数の単位に編成され,そのおのおのの内部で共同体成員が原則として平等な土地配分を受ける。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

開放耕地制度
かいほうこうちせいど
open field system

中世から近世にかけて、ヨーロッパの平野部集村地方で支配的であった農地制度。村の共同耕地(耕圃(こうほ))を構成するいくつかの耕区は、それぞれ各農民の持ち分に属する耕地片の集合体で、共同耕地全体としては保有地は複雑に混在している(混在地制)が、同一耕区内の保有地の間には生け垣、柵(さく)などの仕切りがなく、一続きで開放されていた。耕区の形状には、南フランスやイタリアに普及していたようなパズル状の不規則開放耕地もあったが、典型的にはロアール川とドナウ川の北方、およびイングランドの大部分の地方にみられたような、細長い帯状の地条が規則的に並ぶ長形開放耕地であった。このような耕地の型の相違は、犂(すき)の型の相違にも対応する。三圃農法と強固な共同体慣行が発展した北方では、重く湿った土壌に適合した、何頭もの家畜によって牽引(けんいん)される大型の有輪犂が出現するが、この犂の隊列は簡単に方向転換できないところから、極端に細長い長形の耕地が要求された。これに対し、伝統的に二圃制が維持され、軽量な無輪犂で土地を浅く耕していた地中海地方では、耕地は正方形に近づき、畦(あぜ)の方向を変えたり、交差させることもできた。三圃制であれ二圃制であれ、休作中の耕圃や収穫後の耕圃は、村の伝統的慣行に従って、農民の家畜(その割当て頭数は保有地面積が基準)の共同放牧にゆだねられ、家畜の糞尿(ふんにょう)によって自然に地味が回復された。このように、開放耕地制度は、家畜を利用して穀物生産を行うヨーロッパ特有の混合農業ないし有畜農業の伝統に適合したものであった。しかし家畜の放牧には共同耕地だけでは不十分なところから、森林、原野などの共同地内の牧草地も放牧にあてられた。
 農業の共同化については、領主を含めて、村の全共同体成員の間で恒常的な取決めが必要とされた。それというのも、領主の直営地も地条として、農民が保有する地条の間に混在する場合が多かったからである。農業共同体としての村の慣行(掟(おきて))は、共同放牧以外にも、耕圃や耕区の境界設定、作物の種類や収穫の時期の統制(いわゆる「耕作強制」)、あるいは共同地におけるさまざまな用益権など、広い範囲に及んだ。[井上泰男]
『M・M・ポスタン著、保坂栄一・佐藤伊久男訳『中世の経済と社会』(1983・未来社) ▽マルク・ブロック著、河野健二・飯沼二郎訳『フランス農村史の基本性格』(1959・創文社) ▽ゲオルグ・フォン・ベロウ著、堀米庸三訳『ドイツ中世農業史』(1955・創文社)』

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世界大百科事典内の開放耕地制度の言及

【村】より

…村道の四つ辻や小高い丘にある祠堂に季節の花を供える素朴な農民の姿,〈五月の樹〉を中心に豊作を祈って若い男女が輪になって踊る楽しいダンスなどは,中世そのままに,今もなお各地で見ることができる。 近代化の波が村落の景観を変えたところが多いが,集村はもともと前述のように,家屋敷と菜園地,各戸の持分が整然たる地条をなして混在するいくつかの開放耕区(開放耕地制度),森林,牧草地,荒蕪地などの入会地から成る農民生活の共同の場であり単位であった。そうした村境域全体の面積は,地形によって違うにせよ,平野部の古い〈むら〉では,その考古学的考証から推定して,ほぼ20km2前後のひろがりであったように思われる。…

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