精選版 日本国語大辞典 「関戸」の意味・読み・例文・類語
せき‐ど【関戸】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- [ 2 ]
多摩川中流域右岸の関戸一帯に比定される。
妙本寺本「曾我物語」巻五には、建久四年(一一九三)四月下旬、源頼朝が上野国・下野国の狩倉を巡見するために鎌倉を出立し、「関戸宿」に宿泊したとある。ここには平将門が関戸を立て、藤原秀郷が「霞関」と名付けたという伝承も記されている。
鎌倉街道上道の多摩川渡河点であった関戸は、その付近の多摩川が形成する広大な沖積地とも相まって、度々合戦場や軍勢の集結地として選ばれていた。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
東京都多摩市の地名。関戸の名は鎌倉期に関所が設置されたことに由来するといわれ,武蔵府中に近く,鎌倉街道が多摩川を越える渡し場に位置した要衝の地。南北朝~室町期に鶴岡八幡宮領があったが,戦国期には北条氏直轄領となって重臣松田左馬助が代官に任じられた。関戸宿として伝馬役を課され,1564年(永禄7)には2年間のみ,平常1日3疋,戦時1日10疋に軽減されている。このときの虎印判状によれば,3と9の日に六斎市が開かれ,〈濁酒役ならびに塩あい物役〉が免除されたことがわかる。55年(弘治1),有山源右衛門は松田氏から〈商人・道者〉の問屋に任じられており,かつ関所の関銭徴収に携わった。有山氏は85年(天正13)〈関戸郷中河原之内正戒塚〉で新宿の開発を進めている。翌年,有山ら6人の有力百姓は松田氏の現地代官の不正を糾弾して,これを郷中から追い,550貫余の年貢納入を請け負っている。
執筆者:池上 裕子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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