防鴨河使(読み)ボウカシ

デジタル大辞泉 「防鴨河使」の意味・読み・例文・類語

ぼうか‐し〔バウカ‐〕【防×鴨河使/防河使】

平安初期に設置された令外りょうげの官京都鴨川かもがわ堤防修築の事をつかさどった。

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精選版 日本国語大辞典 「防鴨河使」の意味・読み・例文・類語

ぼうか‐しバウカ‥【防鴨河使】

  1. 〘 名詞 〙 平安初期に設置された令外の官で、京都の浸水を防ぐため、鴨川の堤防修築の事をつかさどった官司長官(使)・判官主典をおき、検非違使である衛門府官人弁官史生兼任した。
    1. [初出の実例]「防鴨河使無勤之由可誡仰歟」(出典権記‐長徳四年(998)九月一日)

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改訂新版 世界大百科事典 「防鴨河使」の意味・わかりやすい解説

防鴨河使 (ぼうかし)

平安京の東を流れる鴨川(賀茂川)の水防のために置かれた官職。新堤の造築,堤防管理にあたった。824年(天長1)以前に設置されたらしいが,この年任期が3年と定められ,831年には4年となった。861年(貞観3)防葛野河使(ぼうかどのかわし)とともに廃され,業務は山城国司に移ったが,その後復活し,たびたび任官がみられる。使,判官,主典の三等官制で弁官や検非違使,衛門府の佐,尉,志クラスの兼任が多かった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「防鴨河使」の意味・わかりやすい解説

防鴨河使
ぼうかし

令外官の一つ。鴨河 (→鴨川 ) 決壊の際,堤防修復の任にあたった臨時の職。職員長官 (かみ) ,判官 (じょう) ,主典 (さかん) の三等官制をとり,検非違使官人や弁官,官史生などが,これに任命された。おもな職務は決壊個所の巡検,防河工事の臨検,修復後の覆勘などであった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「防鴨河使」の意味・わかりやすい解説

防鴨河使
ぼうかし

令外官(りょうげのかん)の一つ。京都(平安京)鴨河(かもがわ)の堤防修補のために置かれた臨時の職。その設置は弘仁(こうにん)年間(810~824)と推定される。職員は三等官制をとり、長官の使(し)は1人で、検非違使佐(けびいしのすけ)、尉(じょう)や弁官が多く、判官(はんがん)は1~2人で、検非違使尉、志(さかん)がほとんどであり、主典(しゅてん)は2~3人で、検非違使志、府生(ふしょう)や弁官局の史生(ししょう)が任命されている。堤防が決壊すると、まず破損状況を調査し、防河の修補が終わると、覆勘(ふっかん)といって巡検を行う。

[渡辺直彦]

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