阿沼美神社(読み)あぬみじんじゃ

精選版 日本国語大辞典 「阿沼美神社」の意味・読み・例文・類語

あぬみ‐じんじゃ【阿沼美神社】

  1. 愛媛県松山市味酒(みさけ)町にある神社。旧県社。祭神は大山積命(おおやまつみのみこと)ほか二柱。江戸時代には味酒神社と称した。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本歴史地名大系 「阿沼美神社」の解説

阿沼美神社
あぬみじんじや

[現在地名]松山市味酒町三丁目

古町こまち一帯氏子をもつ旧県社。「延喜式神名帳に記載された温泉郡四座のうちの「阿治美神社名神」である。神名帳に「阿治美神社」とあるのは誤記。祭神は大山積命・雷神・高神。この社はもとかつ山(のちのしろ山)に鎮座していたので、勝山三島大明神と称したこともあった。加藤嘉明が勝山に築城するに当たって、慶長八年(一六〇三)現在地に移し(阿沼美神社所在考)、同一〇年に社殿が落成し、社名を味酒みさけ神社と改めた(阿沼美神社明細書)。その後蒲生忠知、さらに松平氏歴代の厚い崇敬を受けて行宮所二ヵ所も設けられ、藩の祈祷所となり社運は隆盛に向かった。

元禄年間(一六八八―一七〇四)に大山為起(一六五一―一七一三)が、藩主松平定直の招きによってこの社の神職となり、垂加神道を鼓吹し、祭儀の仏教からの独立を主張して、神道および神社の地位の向上に尽した。


阿沼美神社
あぬみじんじや

[現在地名]松山市平田町

宮内みやうちにある。祭神は大山積・月読・高・雷の諸神。旧郷社。境内に稲荷神社がある。社伝によると、初めこの地域に活躍した和気(別)氏が阿沼美神を奉祀していたが、河野氏の勢力が強大となると、この社に大山積神を勧請して阿沼美三島大明神と称した。永禄(一五五八―七〇)の頃河野通直(弾正少弼)は新たに社殿を造営し、三島新宮とよんだ。さらに大内信泰(潮見山城主)に命じて祭事を執行させた。

天明二年(一七八二)本殿が大破したので、五ヵ村にわたる氏子の寄進によって再建工事が進められた時、屋根裏から文禄年間(一五九二―九六)の棟札が発見された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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